[データファイル [注目企業のM&A戦略を追う]]

(2015/11/04)

ニプロ

~「医」分野への選択と集中を掲げ、M&Aによりガラス事業から転身~

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1.はじめに

 高齢化の進展などに伴い、医療機器市場が拡大している。国内の市場規模(国内生産額+輸入額-輸出額)は1990年代後半から2兆円前後で推移していたが、2004年以降は毎年2兆円を上回り、2013年には過去最大の約2兆7000億円となった(出所:厚生労働省 薬事工業生産動態統計)。同市場は今後も成長が期待されている。医療機器は治療の際に人体に直接接触することによって用いられる「治療機器」と、人体の状態をミクロ・マクロに観察するために用いられる「診断機器」に大別される。治療機器はカテーテル、心臓ペースメーカー、注射器などであり、同分野の業界トップはテルモ、第2位がニプロである。診断機器はX線撮影フィルム、内視鏡、超音波診断装置などであり、富士フイルムホールディングスやオリンパス、また、大手電機メーカー子会社などが製造・販売している。

 医療機器メーカーの中で、「医療機器」と「医薬品」、さらには医療現場に必要な部材を提供する「硝子」の3事業を「医」分野と位置付け、あらゆる医療ニーズに応えられる総合医療メーカーを目指してきたのがニプロである。業績は順調に伸びており、「医」分野を中核とすることに舵を切った2001年3月期に1521億円だった売上高は、2015年3月期には3251億円、また、当期純利益も125億円と過去最高を記録した(図表1)。この間、後述するように一時は売上全体の32.5%を占めた小売事業を売却したにもかかわらず、売上高は倍増している。(ニプロは、医療機器事業、医薬品事業、硝子事業の事業別セグメントを、それぞれ「医療関連」、「医薬関連」、「硝子関連」と報告しているが、本稿では便宜上、原則として医療機器、医薬品、硝子という言葉を用いた。)

 3事業の中で、「医療機器」では・・・

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