[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2018/02/28)

アマゾンが牽引する音声ショッピングの未来と脅威

~ 出品企業はアマゾン依存から脱却できるか

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
  • 無料会員
  • A,B,C,EXコース

Amazon Echoの魅力

  快進撃を続けるアマゾンだが、本連載では同社の無人店舗Amazon Goについて何度か取り上げてきた。Amazon Goは1月22日に米シアトルで一般向けに開業され、体験レポートもネット上で続々出てくるなど大きな反響を呼んでいる。

  Amazon Goはリアルの場で新たな買い物体験を提供しようとするものだが、オンラインでの新たな買い物体験を提供するのがスマートスピーカー「Amazon Echo」による音声ショッピングである(図表1)。Amazon Echoの根幹をなすのが音声機能AI「Alexa(アレクサ)」であり、アレクサが利用者の声に応えてくれる。Amazon Echoに「アレクサ、コーヒー豆を買って」と話しかけるとアマゾンのマーケットプレイスから注文してくれる。筆者はまだ音声ショッピングを体験したことがないが、利用した人の話を聞くと、手が離せないときや購入したい商品が決まっているときは時間節約になって便利、となかなかの評価である。音声ショッピングは今までにない買い物体験をもたらし、人々の生活の利便性を高めてくれるものとして期待される。

図表1  Amazon Echo

         
(出所)wirecutter

拡大が見込まれる音声ショッピング市場

  音声ショッピングの市場規模に関する統計はないが、スマートスピーカーの出荷額からおよその規模感はつかめる。米調査会社のStrategy Analytics社によると、スマートスピーカーの世界出荷台数は2017年で2,400万台と発表している。そのうちAmazonのAlexa掲載デバイスが約7割、Google Assistant掲載デバイスが約2割となっている(図表2)。Amazonが大きなシェアを占めるが、今後はGoogleが急速に追い上げると予想する声も多い。

  スマートスピーカーがもっとも普及している地域は米国である。米調査会社のForrester社によると、米国内でスマートスピーカーを保有する世帯数は2017年に1,530万世帯と全世帯の1割程度であるが、2022年には全体の約5割となる6,630万世帯まで急拡大すると予想されている(図表3)。

図表2  スマートスピーカー市場のシェア(出荷台数ベース、17年第3四半期)
 

(出所)Strategy Analytics

図表3  米国のスマートスピーカー保有世帯数
 


(出所)Forrester

音声ショッピングで強大化するアマゾン ~力の源は顧客情報

  スマートスピーカーはまだ市場投入されたばかりであり、今後どれだけ音声ショッピングとして普及・定着するかは未知数である。ただ一つはっきりしているのは…



■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)
略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@research-soken.or.jp

 

続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

スキルアップ講座 M&A用語 マールオンライン コンテンツ一覧 MARR Online 活用ガイド

アクセスランキング