[産業構造の変化に対応するM&Aの実務]

2014年6月号 236号

(2014/05/15)

第24回 「将来に向けた改革」-M&Aは量より質へ

 島田 英海(EYトランザクション・アドバイザリー・サービス ディレクター)
  • A,B,EXコース

  EYによる「第10回キャピタル・コンフィデンス調査」によると、グローバル企業は、革新的なオーガニック・グロース(内部成長)や計画的なM&Aディールによって価値創造や売上・収益の拡大を求めています。より大きく、より変革的なM&Aが戦略的な成長課題となっており、長引く金融危機とM&A市場の停滞を経て、グローバル企業はM&A戦略において量ではなく質を選択していく傾向にあります。

1.要約

  2014年3月に実施した「第10回キャピタル・コンフィデンス調査」(世界54カ国、1600人以上の経営層へのインタビュー調査)によると、グローバル企業は、革新的なオーガニック・グロース(内部成長)や計画的なM&Aによって価値創造や売上・収益の拡大を求めています。
  大手企業にとって、リスクと利益のバランスを取ることがこれほど困難であったことはあまりありません。かつてないほどの株主のアクティビズムの中、企業は地政学的な不安定性、脆弱な世界景気の回復、および労働人口の変化やデジタル・トランスフォーメーションといったメガトレンドの劇的な変化への対応に取り組んでいます。
  このような状況の中、本調査では、近年の東欧の地政学的衝撃、成熟市場の低成長やBRICs地域の成長の鈍化をよそに、世界経済に対する回復力のある信頼感が示されました。借入能力に対する見通しは本調査開始以来5年間で最も良い結果となり、現金の供給は準備が整い、バリュエーション・ギャップは縮小してきています。
  従来は、これら全てがM&A増加の要因でした。しかし、今日では、経営幹部は優先事項が並列しており、舵取りが複雑になっています。マネージメント・チームは、コスト管理やアクティビスト(物言う株主)に対する配当還元に新たに焦点をあて、企業価値の達成に努めています。 それと同時に、一部の経営幹部は、革新的なオーガニック・グロースや計画的なディール・メイキングによって価値創造や売上・収益も求めています。
 

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