[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2016年9月号 263号

(2016/08/15)

第139回 建設機械業界 本格的に幕を開けたIoT関連のM&A~建機大手はIoT活用の先駆者

 澤田 英之(レコフ リサーチ部長)
  • A,B,EXコース

1.はじめに~IoT概観

  昨年(2015年)来IoT という言葉を時々耳にしていたが、今年(2016年)はメディア等で、この言葉を目にしない日はないと言っていいほどの盛り上がりをみせている。

  IoTとは、Internet of Things(インターネット・オブ・シングス)の略で、一般的に「モノのインターネット」と訳されている。コンピュータなどの情報・通信機器だけではなく、世の中に存在する様々なモノ・ヒト・サービスがインターネットに接続されることによってモニタリングやコントロールが可能になるという概念である。

  重要なキーワードは「つながる」という言葉であり、IoTがこれだけ注目されるようになったのは、これまでつなげることのできなかったモノ・ヒト・サービスがセンサーやインターネットで「つながる」ことによって、新たな付加価値やビジネスが創り出される可能性があり、また、既に一部が実現されているからである。

  例えば、最近注目を集めているコネクテッドカーについて、総務省は「平成27年版情報通信白書」の中で次のように述べている。「コネクテッドカーとは、ICT(Information and Communication Technology)端末としての機能を有する自動車のことであり、車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。具体的には、事故時に自動的に緊急通報を行うシステムや、走行実績に応じて保険料が変動するテレマティクス保険、盗難時に車両の位置を追跡するシステム等が実用化されつつある」。実際、欧州では自動車事故発生時、自動で警察等に緊急通報を行うシステムの導入が進展しているという。また、日本ではトヨタ自動車が、カーナビやGPSなどの車載機と移動体通信システムをつなげることで、カーナビの地図更新、ニュースなどの情報サービスや、エアバッグと連動した緊急通報、盗難車追跡などを行うテレマティクスというサービスを提供している。

  この他、日本企業だけをみてもIoTによる生産性やサービス向上などを図ろうとしている例は多い(図表1)。これだけをみても、我々の生活や企業経営に大きな影響を与える可能性が高いものと考えられる。

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