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M&A専門誌マール

2016年10月26日(水)

円谷先生のM&A基礎講座 [財務分析入門]

【第2回】 安全性分析

 円谷 昭一(一橋大学大学院商学研究科 准教授)

短期と長期の安全性

 本連載では、「財務分析入門」と題して7回にわたって連載します。

 今回から具体的な分析手法の紹介へと進んでいきますが、第2回は「安全性分析」と題しています。このタイトルの通り、企業の安全性をどのように分析するかに主眼を置いています。では、そもそも企業の安全性とはどういうものなのでしょうか。決まった定義はないのですが、資金の調達、運用、返済を円滑に行っているかどうかを分析することです。「資金繰りは大丈夫か?」と言った方が直観的かもしれません。安全性分析は、短期と長期の2つの視点から行うのが一般的です。会計学における「短期」とは1年以内のことで、「長期」とはそれ以上の期間、おおむね3年後までといったところです。

 短期の安全性とは1年以内(つまり近い将来)に倒産してしまわないかどうか、とりわけ手元資金の多寡が重視されます。一方の長期の安全性では資金調達方法に焦点が当てられます。たとえば、現時点では手元資金が潤沢で短期の支払いには問題ないとしても、銀行からの借入金が多いために長期的には資金繰りが悪化することもあるでしょう。したがって短期と長期の安全性をともに見ていくことが大切になります。では、まずは短期の安全性から紹介していきましょう。

短期の安全性分析

 短期の安全性を分析する際のポピュラーな指標として、「流動比率」「当座比率」をまずは取り上げましょう。

流動比率

 短期の支払い能力を流動性(liquidity)と呼ぶことがあります。流動性に問題があると仕入れ代金の返済ができずに倒産してしまうこともあります。資金の流動性を測る指標として流動比率があります。計算式は以下のとおりです。
 


 流動資産と流動負債は各社の貸借対照表に記載されています。流動資産とは簡単に言うと「1年以内に現金となる資産」であり、流動負債は「1年以内に支払う借金」となります(実際はもっと厳密な定義があります。詳しくは「西山先生のM&A基礎講座[決算書の見方]」で学んでください)。1年以内に手元に入ってくる現金よりも1年以内に支払う借金の方が多い場合、それは危険だと思いませんか。たとえば、ある学生の月のアルバイト収入が5万円だったとして…

 


■筆者プロフィール■
円谷 昭一(つむらや・しょういち)
一橋大学大学院 商学研究科 准教授。2001年一橋大学商学部卒業。06年一橋大学大学院商学研究科博士課程修了、博士(商学)取得。埼玉大学経済学部准教授を経て、11年より現 職。経済産業省「持続的成長への競争力とインセンティブ-企業と投資家の望ましい関係構築を考える-」委員、「企業会計とディスクロージャーの合理化に向 けた調査研究」委員などを歴任。日本IR協議会客員研究員。主な論文に「機関投資家ファンダメンタルズと株主総会投票行動の関連性(月刊資本市場2016 年9月)」、「IFRSの任意適用が経営者業績予想の精度に与える影響(會計2016年6月)」など。

※詳しい経歴はこちら

 

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