[【企業価値評価】決算書の見方(早稲田大学大学院 西山茂教授)]

(2012/11/14)

【第5回】財務比率で企業の実力を見る:ROEとその分解

西山 茂(早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授 公認会計士)
  • 無料会員
  • A,B,C,EXコース

(1)ROEの意味とデュポンシステム

 財務比率の中心はROE(Return On Equity:自己資本比率)です。ROEは株主からみた投資効率を表す指標であり、株主にとっての儲けである当期純利益を株主が出している資金である自己資本(純資産とほぼ同じ)で割って計算します。日本企業の平均は金融危機前で約10%、その後低下したものの2011年3月期は約7%程度に回復しています。ROEは、分母と分子に売上高と総資産を入れ込むことによって、収益力を表す売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)、資産を効率よく使い売上高につなげているかを表す総資産回転率(売上高÷総資産)、借入金などの負債をどの程度活用しているかを表す財務レバレッジ(総資産÷自己資本)の3つの掛け算に分解できます。この分解式は米国のデュポン社が使い始めたためデュポンシステムと呼ばれています。


■西山 茂(にしやま しげる)

略歴:
 早稲田大学政治経済学部卒業。米国ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士課程(MBA)修了。監査法人ト-マツにて会計監査・企業買収・株式公開などの業務を担当したのち、㈱西山アソシエイツを設立し、株式公開支援や企業買収支援などの財務コンサルティング及び企業研修などの業務に従事。2002年4月より早稲田大学大学院(ビジネススクール)助教授に就任し、現在教授。学術博士(早稲田大学)。公認会計士。

 主な著書に、MBAアカウンティング改訂3版(監修及び共著、ダイヤモンド社)、企業分析シナリオ第2版(東洋経済新報社)、英文会計の基礎知識(ジャパンタイムズ)、戦略財務会計・戦略管理会計改訂2版(以上ダイヤモンド社)M&Aを成功に導くBSC活用モデル(白桃書房)入門ビジネス・ファイナンス(東洋経済新報社)などがある。

※詳しい経歴はこちら

 

続きをご覧いただくにはログインして下さい

この記事は、無料会員も含め、全コースでお読みいただけます。

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事

スキルアップ講座 M&A用語 マールオンライン コンテンツ一覧 MARR Online 活用ガイド

アクセスランキング