[【企業価値評価】企業価値評価とコーポレートファイナンス(早稲田大学大学院 西山茂教授)]

(2016/03/09)

【第5回】投資プロジェクトの評価

 西山 茂(早稲田大学大学院(ビジネススクール)教授 公認会計士)
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 前回までに、コーポレートファイナンスにおける儲けのベースであるフリーキャッシュフローと投資家が期待している儲けの水準である資本コスト(WACC)について学んできました。今回はその2つをベースに、事業の買収金額や売却金額の計算にも利用されることがある投資プロジェクトの評価方法について学んでいきます。

 投資のプロジェクトの評価は、そのプロジェクトが継続すると予想される期間全体の中で、投資家が期待している儲けが生み出せるかどうかがポイントになります。つまり、プロジェクトの全期間を通して得られる儲けが、全体として、投資家から求められているレベルを上回るかどうかがポイントになるのです。具体的には、3つの代表的な方法、つまり現在価値でいくら儲かるかを基準に評価するNPV法、年平均で何%儲かるのかを基準に評価するIRR法、どの程度の期間で回収できるかを基準に評価する回収期間法があります。

 今回は、この3つの方法について学んでいきます。

1.投資プロジェクトの評価方法

(1)NPV法(Net Present Value:正味現在価値法)

 NPV法は、この投資プジェクトを実行すると現在の価値でいくら儲かるのか、つまり儲けの金額の大きさをもとに評価する方法です。具体的には、投資プロジェクトを行うことによる将来のフリーキャッシュフローの変化を予測し、その変化分を、金利とリスクによる価値の違いを考慮して現在時点の価値に割り引き、それを合計した金額で評価していきます。この結果がプラスの場合は、現在価値に置き直して考えるとその金額だけ価値を生み出す、つまり儲かる投資プロジェクトであり、実行すべきであることになります。一方で、その結果がマイナスの場合には、現在価値に置き直して考えると、その金額だけ損をすることを意味しているので、実行すべきでないことになります。割引率としてはWACC(加重平均資本コスト)を使います。

 NPV法は・・・



■西山 茂(にしやま しげる)
早稲田大学政治経済学部卒業。米ペンシルバニア大学ウォートン校よりMBA取得。早稲田大学より博士号取得。監査法人ト-マツ等にて会計監査、株式公開コンサルティング、M&A支援、人材育成などの業務に従事。
2002 年から早稲田大学で教鞭をとり、2006年から現職。会計や財務といった数字をベースに理論と実務の両面から経営を考える授業やゼミを担当している。国内主要企業の監査役を歴任。会計・財務に関する著書多数。公認会計士。

※詳しい経歴はこちら

 

 

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