[【M&A戦略】M&A戦略立案の要点(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)]

(2021/04/14)

【第4回】 M&A戦略の類型(2)製品開発型

木俣 貴光(三菱UFJリサーチ&コンサルティング コーポレートアドバイザリー部 部長 プリンシパル)
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製品開発型M&A戦略

 新製品開発戦略とは、新規の製品を用いて既存の市場で成長を実現する戦略である。一般には、製品ラインナップの拡充や新技術開発がその打ち手となる。この類型のM&A戦略には、「製品拡張戦略」「許認可買収」「技術買収(A&D)」「ブランド買収」がある。

図表1 製品開発型M&A戦略の類型

出所:木俣貴光『M&A戦略の立案プロセス』(中央経済社、2019)


1.M&A戦略(3) 製品拡張戦略

■ 概要

 「製品拡張戦略」とは、買収によって取扱い製品や顧客への提供機能・サービスを拡大する戦略をいう。新製品開発に時間を要する製造業でよく見られる。例えば、日本電産が「回るもの、動くもの」に特化して連続的にM&Aを実施して急成長していることは有名である。村田製作所は、自社の製品から近い領域での買収により領域を広げていくという「にじみ出し戦略」を採っている。モジュール化が進む電子部品業界では、関連する部品を組み合わせてモジュールとして顧客に供給することで競争力を高めることが重要であり、その手段としてM&Aが活用されるケースが多い。

■ 製品拡張の方向性

 製品拡張には、大きく3つの方向性が挙げられる(※1)。

《3つの製品拡張の方向性》

(1)製品特性の追加
 既存製品に新たな特性を追加すること。追加される特性によって、従来から新たな機能、性能、用途などが広がることで、より市場の浸透を図る。M&Aにおいては、既存製品に適用できる技術や製品・サービスを有している企業がターゲットとなる。

(2)新世代製品の開発
 新技術を用いて、既存製品に代わる新世代製品を開発すること。一般に、新技術の開発には時間とコストがかかる上、製品化できる成功確率も高くはない。そこで、M&Aにおいては、必要な技術を明確化した上で、技術買収の観点も踏まえてターゲット企業を探索することになる。

(3)既存市場に向けた新製品の拡張 …

三菱UFJリサーチ&コンサルティング

■筆者略歴

木俣 貴光(きまた・たかみつ)
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 コーポレートアドバイザリー部
部長 プリンシパル

大手石油会社、外資系コンサルティング会社を経て現職。20年以上にわたり、大企業から中堅中小企業まで、幅広いクライアントに対して、M&Aアドバイザリー、グループ組織再編、事業承継対策といった資本政策のほか、M&A戦略立案、PMI支援、ビジョン策定、企業再生支援など、資本政策に付随する戦略テーマにかかるコンサルティングに従事。主な著書に、「M&A戦略の立案プロセス」(第14回M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)、「企業買収の実務プロセス第2版」、「事業承継スキーム」のほか、実務小説「企業買収」(第6回M&Aフォーラム賞奨励賞受賞)(いずれも中央経済社)などがある。

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