[編集部から]

2012年5月号 211号

(2012/04/20)

実現した夢の対談~日本電産 永守社長 vs 武田薬品工業 長谷川社長~

 M&A専門誌「マール」5月号では、日本電産の永守社長と 武田薬品工業の長谷川社長という、日本の代表的経営者による対談が実現しました。言うまでもありませんが、永守社長は、数多くの内外M&Aによって日本電産をグローバル企業へと急成長させました。最近は、米エマソン・エレクトリックからの事業譲受(2010年)や伊アンサルド・システム・インダストリー買収(2012年4月公表)といった大型の海外M&Aによって、中・大型モータ部門を強化する戦略に注力しています。他方、長谷川社長も、ミレニアム・ファーマシューティカルズの買収(9,000億円)で癌領域の開発体制を獲得したほか、昨年はスイスのナイコメッドを1兆1000億円で買収して欧州・新興国の市場を一気に獲得するなど、武田薬品工業をグローバルで戦える研究開発型の製薬企業に変身させました。痛風薬のURLファーマ買収(650億円)もつい最近です。両社は奇しくも、弊誌マールが行った年初のアンケートで、「M&Aをうまく活用している事業会社」のNO.1とNO.2に選ばれており、まさに夢の対談となりました。しかも、初対面とのこと。

 両社長のすごい熱気に圧倒されますが、まず飛び出したのが、「狩猟民族宣言」です。日本企業はグローバルの戦いをせざるを得ないが、これに勝つためには、日本人は長年培ってきた戦い方・考え方を変えないといけない。農耕民族から狩猟民族の戦い方(「相手を完膚無きまでやっつける」)に変えないといけないと。

 グローバル化のリスクを問われると、日本電産が進出している28カ国を20項目で点数をつけると、平均が70~75点のなかで、日本は45点の最下位。税制や労働規制なども含めると、「日本が一番ものづくりのリスクが高い」と永守社長。日本企業がグローバル化するためには、とるべきリスクをとらないといけない。「必死に必死に必死にもがいて、考えて考えて考えて、最後は自分の命運をかけてやる。会社の命運はかけてはいけない」と社長の壮絶な決断を長谷川社長が語る。

 ほんのさわりのご紹介でしたが、後は本誌に譲ります。M&Aについて考えぬいた経営者の豊富な経験からでる「珠玉」の掛け合いが満載。18ページもあっという間です。

 M&A専門誌「マール」は次号から本格的Web化に移行しますが、その節目を飾るに相応しい熱のこもった対談をありがとうございました。


(編集長 丹羽昇一)

[M&A専門誌「マール」5月号]
日本企業のグローバル化とM&A戦略--代表的経営者の視点から

 

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