[Webインタビュー]

(2018/05/16)

【第91回】M&Aマッチングサイト『M&A+(プラス)』を買収した狙い

 烏野 仁(デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 代表執行役社長)
  • A,B,C,EXコース

売手と買手をつなぐ情報プラットフォーム

――  デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社(以下DTFA)は、株式会社ディスコ(以下 ディスコ)が運営していたマッチングサイト『M&A+(プラス)』(以下M&Aプラス)事業を2017年12月31日に譲り受けました。どういう経緯があったのですか。

「DTFAは、デロイト トーマツ グループのプロフェッショナル ファームとして、日本においてM&Aやクライシスマネジメントを主としたファイナンシャルアドバイザー(FA)の分野を核としたサービスを展開しています。主力のサービスであるM&A事業は、M&Aアドバイザリー、M&A戦略、M&A取引からクロージングまで総合的にサポートをしています。

  ご存知のように、近年、日本各地において経営者の高齢化や後継者不足を背景に、事業承継に関する問題に直面する企業が増加の一途を辿っています。日本には約380万社の中小企業が存在しており、中小企業経営者の高齢化が進んで、約半数が廃業予定ともいわれている状況です。こうした中で、今後、中小企業におけるM&Aのニーズが増え続けることが予想されていまして、政府も18年度の税制改正で中小企業の事業承継を促す税優遇策や事業承継を拡充する方針を固めています。

  しかし、中堅・中小企業のM&Aにおける課題として、都心部以外の地域ではM&Aを専門とする経験豊富なFAが不足しているため、限られた選択肢の中で決断しなければいけないという現状があります。

  今回譲受したディスコのM&Aプラス事業は、後継者問題など問題を抱えている経営者の方々に、M&Aに関する相談相手や引き継ぎ先を紹介する総合サイトとして15年6月から運営されてきました。従来、地方の経営者の方々は、域外のM&A情報を入手することが困難であったため、域内同士のM&Aに留まりがちでしたが、M&Aプラスは売手と買手をつなぐ情報プラットフォームとしての役割を担ってきました。

  今回のM&Aプラス事業の取得によって、DTFAは、従来のM&Aプラスのドメインや名称を引継ぐとともに、さらにシステム等の改良を加えたM&Aプラスを18年1月末にリニューアルオープンさせました。これによって、全国のM&A専門家と連携することで中堅・中小企業の経営者の方々が地域内にとどまらず全国のM&Aに関して気軽に相談できる体制づくりを進めたいと考えています」

仲介業者の紹介ではなく経営者とFAのマッチングを行う

――  M&Aプラスの特長としてはどのような点が挙げられますか。

「既存の仲介サービスのサイトとは異なって、仲介業者向けのプラットフォームではありません。登録したFAには売り手のアドバイザーになるか、買手のアドバイザーになるか、どちらかを選択していただくという形で、買手ないし売手のインタレストを重視した新しい形態のサービスです。事業承継問題や、事業成長戦略で課題を抱えている中堅・中小企業経営者とFAをオンライン上でマッチングすることで、スムーズで公正な取引を実現することを目指していまして、以下のような3つの特長を持っています。

  第1に…



この記事は、Aコース会員、Bコース会員、Cコース会員、EXコース会員限定です

*Cコース会員の方は、最新号から過去3号分の記事をご覧いただけます

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事