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[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2018年12月号 290号

(2018/11/15)

第164回 リーマンショック後、生き残りをかけて構造改革に取り組む電機業界~BtoCからBtoBへの戦略転換を図る

編集部
キーワードは構造改革

 半導体・エレクトロニクス分野の調査・分析を長年行ってきたグロスバーグの大山聡代表は、大手電機8社の2008年度から2017年度の過去10年間を振り返ってこう語る。

 「08年9月のリーマンショックによって、大手電機8社の業績は08年10月以降大幅に悪化しました。8社のうち7社が赤字決算に陥り、かろうじて黒字を計上できたのは三菱電機だけという惨憺たる状況になりました(下図)。

当期利益の推移

 幸い世界経済は09年後半から回復し始めたのですが、10年ごろからパナソニック、シャープ、ソニーがいずれもデジタル家電関連事業を中心に巨額の赤字を計上するようになり、3社とも抜本的な経営改革を余儀なくされたのです。特にシャープの財務体質の悪化がひどく、株主資本率が急速に下落し始め(下図)、15年度には債務超過に陥り、台湾企業鴻海の傘下に入ることになりました。また、東芝は不正会計が明るみに出て経営体制が崩壊したこと、巨額を投じて買収したWestinghouse(ウェスティングハウス)をコントロールできなかったことの2点が致命傷となり、東芝メディカルシステムズを16年12月にキヤノンに売却、また18年6月には“虎の子”ともいえる東芝メモリを米ベインキャピタルが率いる『日米韓連合』へ売却しました。今後は信頼回復に努めるしかありませんが、収益の柱を失った状態での同社の立て直しには、今後も厳しい試練が待ち受けています。株主資本率でみても(下図)、この10年間で順調に改善を続けているのは三菱電機だけだったというのがこの10年間の電機業界です」

株主資本率の推移

 「08年からのスパンで見ると、構造改革が1つのキーワードだと思います。外部環境が変化するなかで、日本の電機各社がビジネスモデルの変革を含めた構造改革をどのタイミングで実施し、その結果収益ドライバーがどのように変化してきたのかを把握することが日本の電機業界を見るポイントだと思います」とムーディーズ・ジャパンの桑原雅子コーポレート・ファイナンス・グループ ヴァイスプレジデント・シニアアナリストは言う。

 本稿では、シャープ、東芝を除いたパナソニック、ソニー、日立製作所、三菱電機、富士通、NECの構造改革の現状と戦略を見ていきたい。


創業100周年を迎えたパナソニックのBtoB戦略

 パナソニックは18年3月に創業100周年を迎えた。17年度の業績は、11年3月期以来7年ぶりの増収増益で、売上高は、前年同期比9.0%増の7兆9822億円となっている。

 津賀一宏社長は20年度以降の経営目標として、家電、住宅、車載の3事業分野で営業利益率5%以上、営業利益3000億円以上を目指すと宣言、企業向けのBtoB分野で営業利益率10%、営業利益3000億円を目標に掲げた。そのため、各事業を売り上げ、利益成長をけん引する「高成長事業」、利益率の改善を目指す「収益改善事業」、着実な売り上げを図る「安定成長事業」の3つに分け、高成長事業に集中的に経営資源を配分するとした。具体的には、「高成長事業」は、車載電池など。「安定成長事業」は、白物家電や食品流通など。「収益改善事業」は、テレビや固定電話などの事業で、18年度の売上高は、前年同期比3178億円(4%)増の8兆8000億円を予想している。

 「パナソニックもプラズマテレビ事業に大きな大きな投資をした結果、2011年から・・・

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