[業界動向「M&Aでみる日本の産業新地図」]

2017年7月号 273号

(2017/06/15)

第148回 電子商取引(EC)業界

 マール企業価値研究グループ
  • A,B,EXコース

前期大幅減益となった楽天、次の一手はどこに
参入企業の増加で、競争が激化する国内電子商取引(EC)市場


  国内電子商取引(EC)市場は、スマートフォンの普及が後押しして成長を続ける一方で、楽天をはじめ、アマゾン・ジャパン、ヤフー、家電量販店、カテゴリーサイトなど参入企業間の競争が激化している。楽天とアマゾンの2強をヤフーが猛追しており、売り上げは増加しても、顧客を囲い込むためのポイントサービスなどが利益を圧迫する構図も生まれている。国内市場を牽引してきた楽天の最新のM&Aを含めた事業戦略などを通して、日本のEC業界の今後を展望する。

楽天 前期は2年連続の増収減益

  楽天の2016年12月期連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比17.6%減の779億円と、大幅な減益で2年連続の増収減益となった。楽天はインターネット上の仮想商店街「楽天市場」で16年1月からポイントが最大7倍となるキャンペーンを続けている。その結果、利用者が増え、16年12月期連結決算の売上高は前期比9.6%増の7819億円となったものの、事実上の値引きに当たるポイントサービスが利益を押し下げている。

  ヤフーの2017年3期(2016年4月~2017年3月)の連結決算の営業利益は前年同期比14.6%減の1920億円となった。ヤフーは運営するインターネット上の仮想商店街「ヤフーショッピング」で、顧客へのポイントサービスを拡充するとともに、企業の出店料を無料にするなどして品ぞろえを増やし、売り上げを伸ばす戦略で、楽天、アマゾン・ジャパンの国内EC市場の「2強」に対し、攻勢をかけている。

「楽天経済圏」で成長


  楽天が創業したのは1997年2月。その年の5月に立ち上げたインターネット・ショッピングモール「楽天市場」は、このほどサービス開始から20年を迎えた。楽天の歩みは、日本のEC市場の成長と重なる。

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