次号予告
2024年12月号
特集:日本経済の成長戦略とサステナビリティ時代の「攻めのガバナンス」の実践 ~ 上場企業法制の最新動向[2024年版]
2024年11月12日 | | マールオンライン上のリリース |
2024年11月15日 | | 発売 |
※内容は変更されることがあります。タイトルは仮題です。
編集後記
■8月の末から9月にかけて、中小企業のM&Aを取り巻く環境整備やM&A事業者の品質向上に向けた取り組みが相次いで発表されました。
8月30日には、「中小M&Aガイドライン」が改訂され、中小企業庁から
第3版が公表されています。今回、不適切な買い手側の存在や経営者保証に関するトラブル、M&A事業者の過剰な営業・広告の課題に対する留意事項等の記載が拡充されました。
また、同日には内閣府、金融庁等の連名で金融機関によるM&A支援促進の要請が行われたほか、以前からM&A事業者毎に算定基準が異なるため分かりにくいとの意見があったM&A手数料について、「M&A支援機関登録制度」のホームページで手数料体系の公表が開始されました。
9月19日には、民間団体の「M&A仲介協会」から団体名や体制の変更が発表されました。2025年1月より「M&A支援機関協会」となり、会員も仲介だけでなくFAやM&Aプラットフォーマーにも拡大されます。また、理事の対象拡大や委員会・分科会の設置など、ガバナンスも強化する方針です。このほか、悪質な買い手事業者撲滅に向けた協会内での情報共有や業務品質・モラルを高めるための資格制度の検討も開始されます。
これら官民の取り組みが成果を上げ、中小企業の経営手法としてM&Aがより多く活用されることが望まれます。(謙)
■台風や豪雨などに対する安全確保のため、事前に発表される鉄道の計画運休。今年の夏も各地で実施されました。
計画運休が広く認識されたのは、2014年10月に台風19号が発生した際にJR西日本が実施した大型運休でした。京阪神地区の全線を運休させたのです。当時の鉄道は、荒天でも動けなくなるまで運行するのが常でしたが、その陰では脱線や列車の立ち往生で車内に乗客が取り残されるなどの問題も多かったとか。運休の決断は、至上命令である運行業務を全うするより乗客の安全確保を優先した画期的なものでした。しかし台風の勢力が予測以下で、並行して走っている阪神や京阪電鉄がほぼ平常運行を続けたため、多くの批判が集まってしまいました。
その後、鉄道の計画運休は前述同様、何度か「空振り」に終わりましたが、やがてコロナ禍でリモートワークが普及し、乗客も安全性と効率性を重視するようになったことに加え、気象予測の精度向上もあって、計画運休は常識となりつつあります。
鉄道がその存在意義でもある運行をやめる決断を可能にしているのは、データ分析の多様化・進化にあるともいえます。当社データベース利用者の問い合わせ窓口として、お客様のデータ分析の一助となれるよう、気持ちを新たにしている昨今です。(本)