[M&A戦略と会計・税務・財務]

2015年6月号 248号

(2015/05/20)

第96回 平成27年度税制改正と内外投資への影響

荒井 優美子(税理士法人プライスウォーターハウスクーパース タックス・ディレクター)
  • A,B,EXコース

1. はじめに

  2015年3月31日、平成27年度税制改正法(「所得税法等の一部を改正する法律」及び「地方税法等の一部を改正する法律」)が国会で可決成立し、関連する政省令と共に公布された。法人税については一部の規定を除き2015年4月1日以後に開始する事業年度より適用となる。

  デフレ脱却・経済再生に向けた税制措置の中核となる法人税改革では、法人実効税率の段階的引下げと課税ベース拡大が織り込まれた。国際課税の改正ではOECDのBEPSプロジェクトの勧告案を踏まえた、損金算入配当に係る外国子会社配当益金不算入制度の見直しと、近年の企業活動の実態を考慮した、外国会社合算税制の見直しが行われた。

  本稿では、平成27年度税制改正のうち、企業の内外投資への影響について解説を行う。

2. 欠損金の繰越控除制度の見直し

  2015年4月1日以後に開始する事業年度から、法人税率(表面税率)が普通法人について、改正前の25.5%から23.9%に引き下げられる(地方法人税(法人税に4.4%を乗じて計算)を含めると、24.95%)ことと併せて、法人所得の計算上、損金算入できる繰越欠損金の控除限度割合も引き下げられることとなった。控除限度割合の引下げは2段階で実施され(中小法人等については従前通り控除制限の適用はないため、所得の金額まで繰越欠損金の控除が認められる)、2017年度以後は控除限度割合が所得の50%まで引き下げられる。ただし、法人実効税率の引下げに伴う代替財源確保のため、2015年度からの2年間の繰越控除期間は従前通りとされ、2017年度以降の控除限度割合の追加的な引下げに伴い、繰越控除期間が10年に延長される。

欠損金の繰越控除制度の見直し

この記事は、Aコース会員、Bコース会員、EXコース会員限定です

マールオンライン会員の方はログインして下さい。ご登録がまだの方は会員登録して下さい。

バックナンバー

おすすめ記事