[M&A戦略と会計・税務・財務]

2015年8月号 250号

(2015/07/15)

第98回 M&A経験値(知識)の蓄積

 山岡 久之(プライスウォーターハウスクーパース パートナー)
  • A,B,EXコース

1. はじめに

  大型書店に行けばM&Aのコーナーが設置されており、ストーリー仕立ての読み物やデューディリジェンス(財務、税務、ビジネス、人事等)、企業価値評価、ポスト・マージャー・インテグレーション(PMI)、買収スキームと税務に関する書籍等特定分野に特化した書籍など、M&Aに関連する書籍が多数出版されている。また、投資判断に関する書籍についても、同様である。さらに、M&Aのプロセスにおいて買収当事者をサポートするファイナンシャル・アドバイザー(FA)、弁護士、会計士・税理士に関しても、専門化が進みM&Aの分野に特化されている方々も非常に多い。

  したがって、企業、あるいは、PEファンドにおいて企業(事業)の買収に関係される方々にとっては、買収プロセスを進めるにあたって必要となる知識は、これら書籍や専門家からのアドバイス、更には、インター・ネットを通じた情報などで大部分がカバーできる時代となっている。

  M&Aは企業が成長する上で重要な選択肢の一つであることは、既に共通した認識となっており、多くの企業が実際にM&Aを実行した経験を持っているであろう。一方で、成功したM&Aのケースは多くは無いようであり、M&Aを成功させることの難しさについても共通した認識が持たれている。前述のように、M&Aを実行するにあたって必要とされる知識については容易に、かつ、大量に入手できる時代になりながらも、M&Aの成功・失敗に関する状況に大きな変化は見られない。しかしながら、過去の経験を十分に活かし、確実に進歩している企業が存在していることも事実である。

  本稿では、このように確実に進歩している企業を参考として、読者が自社のM&Aスキルを向上させるための仕組み作りの材料を提供することを目的としている。なお、本文中の意見に関する部分は、筆者の私見であることをあらかじめお断りする。

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