1.はじめに 京滋地域の学習塾である京進がM&Aを活用して事業領域を拡大・強化している。2019年5月期の学習塾事業の売上高は106億1700万円と、2017年5月期の100億9200万円から5.2%増で微増したが、全体の割合でみると75%から53%にまで低下。代わりに2011年、2017年にそれぞれ参入した保育・介護事業の割合が13%から33%まで高まった(図表1)。また、2009年に新規参入した語学関連事業も14%を占めるまでに成長させている。
2019年5月期の売上高は201億5100万円(前年同期比12.4%増)で過去最高となった(図表2)。一方、売上高営業利益率は1.63%で、同業他社と比較すると低いといえる(図表3)。セグメント別利益(本社経費配賦前)を見ると、学習塾事業に限れば17億400万円のプラスなのに対し、語学関連事業は1億6700万円のマイナス、保育・介護事業は4600万円のマイナスとなっている。新規参入した2事業領域は、いずれも参入直後からM&Aを利用するなど投資を積極的に行ってきたが、現時点では利益をもたらすまでには成長させられていない。京進が2018年度に策定した中期経営計画「新:2020年ビジョン」では、「収益性の向上」を重要成功要因として新たに挙げており、グループそれぞれの部門が自立性・積極性をもって事業に取り組んでいくとしている。
祖業である学習塾事業から、 “人の一生に関わる「一生支援事業」を展開する企業への変革”を目指す京進のこれまでを振り返る。…