[特別インタビュー]

2022年6月号 332号

(2022/05/02)

「スタートアップ元年」に時間外労働の上限規制撤廃、M&A促進のための措置検討を

~経済同友会「創業期を越えたスタートアップの飛躍的成長に向けて」の提言を巡って

間下 直晃 (経済同友会 規制・競争政策委員会委員長/ブイキューブ 取締役会長 グループCEO)
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※本記事は、M&A専門誌マール 2022年6月号 通巻332号(2022/5/18発売予定)の記事です。速報性を重視し、先行リリースしました。 
間下 直晃

間下 直晃(ました・なおあき)

ブイキューブ 取締役会長 グループCEO
1977年東京都生まれ。2002年慶應義塾大学大学院理工学研究科修了。1998年ブイキューブインターネット(現ブイキューブ)を設立し、CEOに就任、2022年より現職。2010年1月経済同友会入会。2014年度より幹事。2020年度より副代表幹事。2017~2018年度新産業革命と規制・法制改革委員会、2019年度規制・制度改革委員会、2020年度日本の明日を考える研究会、ウィズ/アフターコロナイニシアティブの各委員長。
提言の背景と問題意識

―― 経済同友会は4月12日に提言、「創業期を越えたスタートアップの飛躍的成長に向けて」を公表・提言しました。昨今、政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と位置づけるなど、スタートアップが注目されています。今回の提言を公表した狙いを教えてください。

「スタートアップを巡る事業環境は、この10年で劇的に変わりました。日本が成長していくためにはスタートアップが重要との認識が広がり、関連する政策もどんどん出ています。

 しかし、グローバルな基準では、経済社会に大きなインパクトをもたらすメガスタートアップが日本ではなかなか生まれません。その打開に向けて、取り組むべきことについて検討を重ねた結果が今回の提言です。特に、現政権になってからの政策はスタートアップを支援したいという気持ちはあるようですが、なかなかうまく回っているようには見えません。

 また、日本におけるスタートアップの出口戦略はIPOに偏り、M&Aが少ない状況です。早期のイグジットをめざして小規模なIPOを行った企業の多くは、あまり成長を実現できていません。他方、米国を中心とするグローバル市場ではM&Aも活発で、大企業や投資家のリスクマネーがうまく循環しており、スタートアップの成長を支えています。そこで、日本の大企業、スタートアップに必要な改革を今回整理しました(図表)。

提言『創業期を越えたスタートアップの飛躍的成長に向けて』におけるポイント

―― なぜこのタイミングだったのですか。

「昨今の自民党での議論や政権の問題意識と重なったのはたまたまです。もともと、申し上げた問題意識について、経済同友会では2021年以降、半年以上時間をかけて議論をしてきました。

 各団体のスタートアップに対する提言を見ていると、足りていない部分もあると感じています。そこで、関係者に意見をいただきまとめたのが今回の提言です。6月にも公表が予定されている『骨太の方針(経済財政運営と改革の基本方針)』が策定される前にまとめました」

労働基準法の適用除外の意図

―― 個別の論点について伺いたいです。提言に「一定の対象範囲(企業要件)と適用要件を満たすスタートアップは、時間外労働の上限規制の適用対象から除外し、個人が自らの意思で実情に応じた多様で柔軟な働き方を選択できる実効性の高い制度を構築すべき」とありますが、どういった狙いですか。

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