[特集インタビュー]

2020年11月号 313号

(2020/10/06)

米投資会社ベインキャピタルが日本で初めてスタートアップ「ヘイ」にマイナー投資した理由

――業界再編も視野にユニコーンの育成支援に取り組む

齋藤 健太郎(ヘイ 取締役 CFO:最高財務責任者)
西 直史(ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパン・LLC プリンシパル)
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本インタビューは、M&A専門誌マール 2020年11月号 通巻313号(2020/10/15発売予定)の特集記事です。速報性を重視し、先行リリースしました。

右から齋藤 健太郎(ヘイ 取締役 CFO:最高財務責任者)、西 直史(ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパン・LLC プリンシパル)

右から齋藤 健太郎(ヘイ 取締役 CFO:最高財務責任者)、西 直史(ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパン・LLC プリンシパル)

2018年事業持株会社として設立

-- ベインキャピタル・プライベート・エクイティ・ジャパン*(以下ベインキャピタル)は、8月(2020年)オンラインストア開設サービスの「STORES」、キャッシュレス決済の「STORES ターミナル」をはじめとして、商売のデジタル化を支援する「STORES デジタルストアプラットフォーム」を展開する「hey」(ヘイ)が実施したシリーズEラウンドの資金調達に、香港投資会社のAnatole、米金融機関のゴールドマン・サックス、米決済会社のPayPal等とともに投資されました。中でもベインキャピタルは最大の約70億円を投資したとのことです。ベインキャピタルにとって日本のスタートアップへの投資は初めてになりますし、マイナー投資という点でも初めての案件になります。まず齋藤さんからヘイの歴史についてお聞かせください。

齋藤 「当社は、事業者向けの決済サービス『Coiney』を提供していたコイニーと最短2分でネットショップを開設できる『STORES.jp』のサービスを提供していたストアーズ・ドット・ジェーピーが、2018年2月1日付けでグループ化、事業持株会社としてヘイを設立したという沿革を持っています。これにともなって、フリークアウト・ホールディングス (東証マザーズ)の代表取締役社長であった佐藤裕介がヘイの代表取締役社長に就任しました」


スタートアップへのマイノリティ投資を決断した経緯

-- 西さん、今回のヘイに対する投資はどういう経緯で決断されたのでしょうか。また、投資家としてヘイのどのようなところに魅力を感じたのですか。

西 「この案件ですが、実は私と齋藤さんの人間関係から始まっています。私は、2010~12年までスタンフォード大学に留学していたのですが、齋藤さんは当時メリルリンチに勤めておられて、ちょうどシリコンバレーのオフィスに移ってこられた時期で、現地で知り合うことになったのです。以来、家族ぐるみで仲良くさせていただいていたという経緯があります。そんな関係もあって、19年11月ぐらいだったと思いますが、久々にお声掛けていただいて、ランチをご一緒させていただきました。その時に何か一緒に投資の検討ができないだろうかという話が持ち上がりました。

 その後さまざまな可能性を一緒に検討したのですが、今年の2月ぐらいになると、新型コロナの影響が日本経済にも大きな影響を与える状況になってきました。新型コロナ問題はポジティブな影響とネガティブな影響があって、ポジティブな影響としてはEコマースのプラットフォームビジネスにとっては非常に追い風でした。様々な店舗がリアル店舗だけでなくECビジネスを始めたいというニーズが高まり、『STORES』を利用したいという流れが加速していって、ヘイの業務も大忙しになっていったのです。一方、ネガティブな影響としては、経営環境の不透明化の高まりから当初検討していたストラクチャーでは実現が難しそうという話が出てきました。

 ただこうしたやり取りの間もいろいろな形でヘイの経営陣とは成長戦略について話し合っておりましたので、何か一緒に協業ができないかと考えた時に、ヘイが成長してくための投資資金に加え、今回実現したCoubic(クービック)という予約システムの買収も行いたいという話があったのです。

 そうした経緯を経て、我々としても将来を見据えた有望な投資案件であるとの判断に至って今回の出資に至ったというのが大きな流れです」

-- シリーズEの資金調達によって、ヘイの資本構成は現在どうなっていますか。

西 「ベインキャピタルの東京オフィスでは初めてのマイノリティ出資になりますが、それなりの規模の持ち分で筆頭株主となっております」


業界再編も視野に支援

-- 今後、ヘイの成長を支援しながら業界再編も視野に入れていくというこれまでの基本は変わってないということですね。

西 「今後クービック以外にも

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