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[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2019/11/20)

サステナブルでファッション業界は生まれ変わるか ~ 「消費をやめよう」に立ち向かう

藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
「サステナブル」がキーワードに

 前稿ではZOZOの変化を辿りながら、今のファッション業界に最も欠けている要素がブランドの世界観にもつながるストーリー価値にあることを示した。3大ECモールを中心とする機能価値の戦場からストーリー価値で勝負するエリアに移行できれば、ファッション市場に厚みがもたらされ、結果として市場縮小の危機を回避できる。

 ではファッション業界にとってのストーリー価値とはいったい何なのだろう。「女性の服の解放(シャネル)」「旅を楽しみ、人生を楽しむモノづくり(ルイヴィトン)」「手の届くラグジュアリー(コーチ)」「欲しいを形にする(ZARA)」「人々の生活をより豊かに、より快適にする究極の普段着(ユニクロ)」など、ブランドの持つストーリーは様々だ。そうした中、環境問題を中心とする「サステナブル(持続可能性)」という要素はファッション業界にとって重要なキーワードになってくるのは間違いない。サステナブルなストーリーが顧客ロイヤルティを左右する場面は多くなってくるだろう。

強まるファストファッション業界への批判

 なぜサステナブルがファッション業界に強いストーリー価値をもたらすようになったのか。その大きなきっかけとなったのが、2013年4月に起きたバングラデシュの商業ビル「ラナ・プラザ」の崩落事故だ。死者1,134人、負傷者2,500人以上を出すファッション史上最悪の惨事となった。ラナ・プラザには縫製工場が入っており、劣悪な労働環境や安価な労働力に依存するファッション業界に対する批判が巻き起こる。その後2018年の「#MeToo運動」などを通じて、モデルの体形や労働環境にも注意を払うことが求められるようになる。さらにスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさんが気候変動の危機を訴えるデモを起こすことでサステナブルを求める声は世界的な広がりとなり、一部では「消費をやめよう」デモが起こる事態に発展している。

崩落した縫製工場が入った商業ビル「ラナ・プラザ」

(出所) fashionsnap.com

供給過剰なファッション市場

 サステナブルを巡るファッション業界への批判はやや行き過ぎとの印象も受けるが、それなりの根拠があるのも事実だ。国連欧州委員会は世界の温暖化ガス排出の約1割は衣料産業に責任があると指摘している。

 日本のアパレル市場の需給バランスをみてもファッション業界がいかに供給過剰による在庫過多とゴミ廃棄を生んでいるかがわかる。家計調査から推計される衣料の国内消費量は横ばいが続いているが、国内供給量(国内生産+輸入量)はほぼ右肩上がり伸びており、ワニの口状態になっている(図表1)。

 ワニの口状態はファストファッションのビジネスモデルにも一因がある。短いサイクルで大量生産するため、有名人が身に着けているような商品が数日後には低価格な商品となって雑誌や店頭に並ぶ。一夜にして大ヒット商品を生み出すが、わずか数週間で時代遅れになることも多…


■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

※詳しい経歴・実績はこちら
※お問い合わせ先:hiroyuki.fujiwara@research-soken.or.jp

 

 



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