[藤原裕之の金融・経済レポート]

(2016/06/08)

レコードの復活が物語るもの ~進むモノとコトの使い分け

 藤原 裕之((一社)日本リサーチ総合研究所 主任研究員)
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アナログレコードの復活

 ここ数年「断捨離」がブームとなっている。「そのモノは本当に必要か」と自問自答し、所有するモノと捨てるモノに振り分けるのが断捨離である。断捨離のメリットは、不要なモノを捨てることで自分にとって本当に価値あるモノだけを残し、充実した快適な生活を手に入れられることにある。

 音楽の世界でも断捨離に似た現象が起きている。音楽業界ではここ数年CDの売上が急減する中でデジタル配信が急速に伸びている。2015年にはApple Musicなどの音楽を定額ストリーミングで聴き放題になるサービスが開始した。米音楽市場の売上構成の推移をみると、アナログレコード⇒カセット⇒CD⇒デジタル配信という移り変わりがよくわかる(図表1)。これは音楽を聴く「コト」の世界において、どこからでもアクセスできるデジタル配信がCDに取って代わったことを示している。

 これに対し、音楽を所有する「モノ」の世界では、アナログレコードが「あえて所有すべきモノ」として再び脚光を浴びている。先の図では見落としそうなほど小さな変化ではあるが、00年代後半頃からアナログ市場は着実に拡大傾向にある。

図表1 米国の有料音楽配信売上の推移



レコード針の生産がフル稼働

 デジタル配信の急増とアナログの復活は世界共通の現象となりつつある。筆者は先日・・・



■藤原 裕之(ふじわら ひろゆき)

略歴:
弘前大学人文学部経済学科卒。国際投信委託株式会社(現 三菱UFJ国際投信株式会社)、ベリング・ポイント株式会社、PwCアドバイザリー株式会社を経て、2008年10月より一般社団法人 日本リサーチ総合研究所 主任研究員。専門は、リスクマネジメント、企業金融、消費分析、等。日本リアルオプション学会所属。

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