新型コロナ禍でインバウンド需要が激減したあおりを受けた資生堂は、直近の決算(20年12月期)で、最終損益が116億円の赤字となった。電子商取引(EC)が伸び、中国での化粧品販売が回復したもののインバウンド需要の大幅な落ち込みを埋めることはできなかったようだ。
このコラムでは約1年半前(19年10月)に資生堂の米国市場攻略や高級化路線に向けた動きを、当時進行中であった経営計画(VISION2020)を参考にしながら記した。そしてこの厳しい決算を受けてより高次元での成長加速の必要性が高まっている。既に21年2月に同社は事業構造の抜本的見直しを公表している。同社HPに公表されたリリースによると、グローバルに展開するパーソナルケア事業(TSUBAKIやSENKAなどの日用品事業)を欧州系の投資ファンド(CVC キャピタル・パートナーズ)に売却(
会社分割)し、同ファンドが出資している運営会社に株主として(35%)経営参画するというものである。CVCは81年創業で、世界23拠点で事業展開する
プライベート・エクイティ・ファンド。豊富な資金力を背景にリテール関連業界で多くの投資実績がある。...