経済成長や企業の収益力改善に向けて、知的財産や無形資産価値を活用しようとする取り組みが進められている。
政府は2022年1月28日、「知財・無形資産の投資・活用戦略の開示及びガバナンスに関するガイドライン」(知財・無形資産ガバナンスガイドライン)をまとめた(注1)。大企業・スタートアップ、投資家、金融機関などの主体に働きかけ、知財・無形資産が活用されるメカニズムを構築するのが今回のガイドライン策定の目的であり、主要なポイントを、「5つのプリンシプル(指針)」「7つのアクション」としてまとめている。海外では企業の時価総額に占める無形資産の割合は年々増加している。アメリカ市場では時価総額の90%を無形資産が占めている一方、日本の取り組みは遅れている。
「知財・無形資産ガバナンスガイドライン」策定の契機とされているのは、2021年に改訂された
コーポレートガバナンス・コードだ。改訂CGコードには、「人的資本・知財投資」についての項目が新たに盛り込まれた。コード改訂を受け投資家に対する統合報告書等での上場企業の「知財・無形資産に関する開示」は22年春以降に広がりそうだが、肝心の「人的資本・知財投資活用」に向けた取り組みの広がりへの期待が高まっている。
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