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(2013/06/12)

”西武 vs サーベラス”余話 ~オリンパスの特設注意市場銘柄の指定解除に思う~

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 サーベラスによる西武ホールディングス株式へのTOBが終わり、結果として約3%の株主が応募し、サーベラスの持株比率は35.48%となった。TOB期間の途中に引き上げた目標44.67%に達しなかったことを強調する見方があるが、引き上げ前の目標36.44%をほぼ達成し、特別決議での否決が可能な3分の1を超えたことの重みを軽視するわけにはいかないだろう。

 次の注目点は、6月25日開催予定の西武の定時株主総会だ。サーベラスは、元米副大統領でサーベラス会長のダン・クエール氏や元金融庁長官の五味廣文氏など8名の取締役選任を提案しており、その決議の行方が注目される。

 ただ、一歩引いて見ると、1万3000人もの個人株主を含む多くの一般株主を有する非上場企業が存在し、かつ、その株主総会の帰趨が注目されること自体が異様なことで、違和感を禁じ得ない。西武がサーベラスの出資を請う形でスタートし良好な関係を維持してきたことを考えると、非上場企業の筆頭株主と経営者とのガバナンス体制を巡る対立は、身内同士による「コップの中の嵐」と言わざるを得ない面がある。しかし、一般株主は、TOBに応募するかどうか、株主総会でサーベラスの役員選任議案を支持するかどうかといった形で、この嵐に確実に巻き込まれており、株式の市場売却という意思表示ができないことや議決権行使の判断材料として重要な要素となるべき市場株価(すなわち経営者への市場評価)が存在しないことの問題点が改めて浮き彫りとなる。

■関連コンテンツ
[M&Aデータ]サーベラスによる西武HDへの敵対的TOB
もの言う株主と敵対的M&A
[M&Aデータ]オリンパスの英ジャイラス買収とその後の経緯

 

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