ベイン・アンド・カンパニー(以下、ベイン)は2022年2月8日に「M&A Report 2022」を発行した。同レポートによると、2021年の世界のM&A総取引額は史上最高の5兆9000億ドルに達し、評価倍率も
企業価値/
EBITDAで15.4倍と過去最高を記録した。
また、市場の高騰にもかかわらず、今年も活発なディール活動が見込まれている。ベインが280人以上のグローバル企業の経営幹部を対象に行った調査では、89%が自社の2022年のディール活動は2021年と同じかさらに増加すると予測していることが明らかになった。
同レポートでは、ディールメーカーの経営者が、この白熱した市場で成功するために正しく理解しなければならない3つの要素として、「人材確保」「ESG」「規制環境の変化」についての考察もなされている。
人材確保に関しては、M&Aでの人材流出を防ぐために、人材について積極的に取り組み、従業員の支持を得られるような強力で説得力のある将来ビジョンを同時に確立することが必要としている。
また、ディールメーキングのプロセスにおいてESGを定期的に評価しているM&A担当役員はわずか11%に過ぎないが、ESGがディールバリューを押し上げる機会と捉え、包括的な企業のESG戦略をM&A戦略とリンクさせる必要があるとしている。
規制環境の変化については、独占禁止法の強化や国家安全保障への懸念が高まる中、2021年は政府により、いくつかの大規模な取引が中止されたが、今後はさらなる規制強化が予想されるとみる。
このほか、テック系企業やヘルスケアをはじめとした15業界別の視点と4カ国の分析についてもレポートされている。
■ベイン・アンド・カンパニー 『M&A Report 2022』