[M&Aトピックス]

(2022/10/21)

第16回M&Aフォーラム賞が決定―M&Aフォーラム賞『RECOF賞』などに4作品を選定

人材育成と優れた作品の表彰を通じ、わが国M&Aの発展に貢献

落合 誠一 氏
 また、M&Aフォーラムの落合誠一会長(東京大学名誉教授)は、同フォーラムの活動について次のように述べた。

「私ども『M&Aフォーラム』の設立経緯を振り返りますと、内閣府経済社会総合研究所にM&A研究会が置かれ、私もそのメンバーとして参加し、わが国のM&Aの発展について議論がなされました。この結果、2005年にM&Aフォーラムの設立が提唱され民間ベースのフォーラムとして発足した訳ですが、その過程で、M&Aフォーラムの事業の柱となる2つの重要な点が挙げられました。

 1つはM&Aに精通した人材の育成であります。M&Aの主体はまさに民間であり、民間の力を土台に進めるべきではないかとの考えのもと生み出されたのが『M&A人材育成塾』です。M&Aを学べる研修・セミナーを開催し、これまでにご活用いただいた企業数は延べ1,200社を超え、受講された方は延べ1,750名に達しております。当フォーラムは、人材育成を通じてわが国のM&Aの発展に微力ながらも貢献してきたものと自負しております。

 もう一つは、M&Aに対する研究を盛んにしていくことの必要性です。この考えに基づいて開催されておりますのが『M&Aフォーラム賞』です。わが国のM&Aの普及啓発に資する優れた書籍、研究論文に対して表彰する制度であり、毎年実施して参りましたが、月日の経つのは早いもので16回目を迎えました。また、これまでに57作品の書籍・研究論文が顕彰され、M&Aの研究者の方々の間でも相当に浸透している賞ではないかと思っております。

 毎回、甲乙つけがたい優れた応募作品が多い中、岩田一政選考委員長の下、選考委員会において、厳正なる審査が行われております。岩田委員長を始め、審査の労を賜りました選考委員の先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。また、受賞者の方々、関係者の方々に対しまして、今一度厚く御礼申し上げて、私の挨拶とさせていただきます」

受賞者の言葉

 受賞者は、それぞれ次のように喜びの言葉を述べた。
【受賞者の言葉】

■ M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』
 川本 真哉 氏(南山大学経済学部教授) 
川本 真哉 氏
「このたびは、M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』を賜り、大変光栄に存じます。長年の宿願を成就させることができました。

 本書では、日本におけるMBOの機能と成果について、ケース・スタディとデータ分析のバランスに意識しながら、検証を試みました。主なトピックとして、日本におけるMBOマーケットの概観、非公開化型MBOの動機、それらの事後パフォーマンスの推移、公表前における利益調整行動の有無、公正性担保措置の影響に関する解明、ダイベストメント型MBOの発生要因と株主の富への影響、などが扱われています。

 これらアプローチをご評価いただいたことを、大変嬉しく思います。選考委員の先生方、関係各位に厚くお礼申し上げます」

■ M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』 
 鈴木 一功 氏(早稲田大学 大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授)
 田中 亘 氏(東京大学社会科学研究所教授)
鈴木 一功 氏田中 亘 氏
「このたびは、大変栄誉ある賞を頂きまして、誠にありがとうございます。共著者一同を代表して、選考委員の皆様、レコフデータ様、並びに出版元の日経BP様に厚く御礼を申し上げます。

 本書は、2017年から2020年に開催された「バリュエーション研究会」の議論を踏まえ、その成果物として出版しました。同研究会では、法学、経済、ファイナンス、会計の研究者と、企業法務、および企業価値評価に携わる実務家が、日本におけるバリュエーションの問題点をテーマ毎に取り上げ、理論面、実務面からの検討を加えました。

 日本のバリュエーションを巡る実務やそれを巡る裁判例は、米国に比べるとまだまだ発展途上で、多くの課題を抱えています。本書が、バリュエーションに関わる実務家や法律家にとって、そうした課題を整理し、理解する上での一助となれば幸いです」

■ M&Aフォーラム賞奨励賞『RECOF奨励賞』
 松本 茂 氏(京都大学経営管理大学院特命教授、城西国際大学大学院教授)
松本 茂 氏
「このたびは、M&AフォーラムRECOF奨励賞を頂きありがとうございます。

 2001 年からの20 年間に日本企業が実行した海外 M&A の累計は9390件、買収金額の合計は 約120兆円に上ります。今世紀、日本企業が何に経営資源を投じたのかと問われれば、間違いなく海外での買収はそのひとつに挙げられます。本書では、日本企業がこの海外 M&A に挑んだことによって取り戻しつつあるダイナミズムを捉え、買収で事業を世界一に育てた企業経営の姿を描きました。

 私は、前著「海外企業買収 失敗の本質」でも賞をいただき、実務家から大学教員になる転機となりました。M&Aフォーラム賞は、M&Aの研究者にとって励みになっています。選考委員の皆様、そして、関係各位にお礼申し上げます」

■ M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞 『RECOF特別賞』
先崎 博文 氏(株式会社朝日新聞社(一橋大学経営管理研究科2022年3月修了))
先崎 博文 氏
「この度はM&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞を賜り、大変光栄に存じます。選考委員の先生方、関係者の皆様、そして本研究にあたってご指導賜りました安田行宏先生をはじめお世話になった全ての方々にこの場を借りて心より御礼申し上げます。

 本研究は日本の上場企業に焦点をあて、どのような特徴のある企業がM&Aを推進するのかについて多面的な要因分析を行ったものです。この中で過去のM&A経験が次回のM&A実施に影響を与えている点や、その影響期間についても明らかにすることが出来ました。

 研究を通じて得た知見を実務の中でも活かして仕事をしていきます。この度は誠にありがとうございました」

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