[M&Aトピックス]

(2022/10/17)

公取委が第四・北越銀行合併の「事後検証」を開始~企業結合審査の高度化を図る

 公取委がM&A(企業結合)後の「企業結合審査」の事後検証を開始した。過去の企業結合審査の手法が適切だったのか、また、経営統合によって市場にどのような影響が生じたのか等を事後的に検証する。改善点が見つかれば、審査手法を精緻化したり、企業結合ガイドラインの記載の充実化を図る。検証結果をより良い政策立案、執行につなげるのが狙い。

 今回の事後検証の対象となるのは、新潟県の第四銀行と北越銀行が合併して発足した第四北越銀行だ。銀行持株会社の「第四北越フィナンシャルグループ」が2018年1月に設立し4年あまり、また、合併で第四北越銀行が誕生し2年弱が経過している。公取委が新潟県の他の金融機関(第二地銀、信金・信組)や第四北越銀行の取引先企業等にヒアリングを実施し、当該M&Aにより地域の金融仲介機能にどのような変化が生じたのかを経済学的に調べる。第四北越が事後検証の対象に選ばれたのは、「(経営統合から一定期間が経過しており)データの入手がしやすく、貸出条件の変更等も把握しやすい」(公取委)という理由があったことも影響しているという。調査期間・実施期限・結果公表については未定としている。当然、事後検証によって、第四北越の企業結合審査の結果が覆ることはない。

 こうした取り組みはEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)と呼ばれ、米国や英国の競争当局では長らく実施されてきている。公取委では、関連の研究組織CPRC(競争政策研究センター)で類似の取り組みを行ってきたものの、調査が外部のエコノミスト等の知見となってしまう側面があり、主体となる公取委にノウハウが蓄積されない等の課題があり、このほど公取委としてM&Aの定期的・継続的な事後検証を行うことにした。第四北越での取り組みを嚆矢とし、調査は定期的・継続的に実施していく。


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