[M&Aトピックス]

(2023/05/08)

三菱UFJが銀行初の地銀・生保向けLBOローンファンドを立ち上げ~投資家層の拡大と、将来のセカンダリー市場創設を目指す

 三菱UFJ銀行は4月7日、LBOデットファンド「LBOシニアローンファンド1号投資事業有限責任組合」を設立した。1号ファンドの規模は159億円で、第2号と3号ファンドも早期に立ち上げ、今後数年間で1000億円規模のファンド規模にすることを目指す。三菱UFJ銀行によれば、シニアローンを対象としたデットファンドの組成は、日本の金融機関として初。ファンドを運営するGPは同じMUFGグループの三菱UFJ信託銀行で、2行を中心に2020年から約3年間にわたってファンドの設立のための検討を続けてきた。

 近年、投資ファンドによる買収案件が大型化しており、いわゆるラージキャップの案件を中心に、1件当たりの融資実行額も大きくなる傾向にある。LBOローンを手掛けるレンダーの層は近年、着実に広がってはいるものの、「LBOファイナンス市場に参入している金融機関はまだ限られ、裾野を広げる必要がある」(三菱UFJ銀行ソリューションプロダクツ部)ことから、資金の出し手となる投資家層の拡大を目的としたファンドを設立することにした。事業承継や企業価値向上のニーズの高まりを背景に、バイアウトによるLBOが今後拡大していくと予想され、大手行での案件の増加や大型化に伴って、資金の出し手が不足する可能性があると同行では見込んでいる。

 同ファンドには、自前では参入実績がまだない小規模な地銀や信金のLP投資家としての参加が見込まれているほか、すでにレンダーとして市場に参入している地銀にも、通常の案件と違った中型・大型の投資先としての参加が予想されるという。三菱UFJ銀行によれば、アレンジャーフィーは徴収するものの、手数料水準を低く抑えることで、投資家が参加しやすいファンドの設計にした。

 日本にはアメリカのようなLBOローンのセカンダリーマーケットが存在しない。将来的には、日本にLBOローンのセカンダリー市場の育成を目指すという狙いもある。

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