[寄稿]

2014年7月号 237号

(2014/06/15)

日本企業の中国ビジネスのスタンス、企業規模や業種によりばらつき

 箱崎 大(日本貿易振興機構 海外調査部中国北アジア課 課長)
  • A,B,EXコース

<世界の対中投資~2013年は増加に>

  2014年1月16日の商務部の発表によれば、2013年の対内直接投資(銀行・証券・保険分野を含まず)は、契約件数が2万2773件で前年比8.6%減であった。一方実行ベースの投資額は1175億8600万ドルで同5.3%増と、2012年の前年比3.7%減から増加に転じた(図表1)。

  業種別の伸び率をみると、製造業が前年比6.8%減少したのに対し、非製造業は同16.4%増加した。非製造業は、不動産業(寄与度4.2ポイント)、リース商業サービス(同1.9ポイント)、卸小売(同1.8ポイント)などが増加を支えた。

  2013年の前年比5.3%増(対中直接投資実行金額)は、これまでの対中投資の伸びからすれば決して高いとはいえないが、商務部の定例会見での報道官のコメントも、中国の政府系シンクタンクの研究者も、直接投資が世界的に上向かない中での対中投資増加を肯定的にとらえていた。

(図表1)中国の業種別対内直接投資の推移

<対中投資増加の原因、国・地域別では香港>

  中国の対内直接投資統計は独特だ。中国の一部である香港からの投資を海外直接投資に計上しており、それが対中投資の3分の2を占めている。香港の動きで全体の動きがほぼ決まるといっても過言ではない。

  2013年を国・地域別にみると(図表2)、第1位の香港は、2012年の前年比7.4%減から前年比9.8%の増加に転じた。実行額全体の伸びに対する香港の寄与度をみると、2012年の△4.9ポイントから2013年は6.3ポイントと10.9ポイントもの上昇となり、実行額が増加に転じた最大の要因といえる。第2位は前年比12.1%増のシンガポール、第3位は同4.3%減の日本であった。第2位と第3位は前年から順位が入れ替わった。
 

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