[寄稿]

2015年8月号 250号

(2015/07/15)

「Casebook on Investment Alliances with Japanese Companies」の公表について

 経済産業省 貿易経済協力局 貿易振興課
  • A,B,EXコース

「日本再興戦略」に記載された「2020年までに外国企業の対内直接投資残高を35兆円に倍増する。」という目標を達成するためには、海外事業者単独による新規進出である「グリーンフィールド投資」のみならず、海外事業者との投資提携による効果も無視することはできない。

  一般的に、海外事業者が投資提携を行う際には、複数の投資提携対象候補を選定し、徐々に候補を絞り込んでいき、最終的に提携対象を決定する。その際、海外事業者は、候補企業について海外で得られる情報に基づいて絞込みを行っていくため、海外で入手可能な日本企業の情報の充実は、こうした投資提携の推進にとって重要である。

  しかし、有識者や海外事業者へのヒアリング等によれば、海外における日本企業に関する情報は不足しており、特に、海外事業者からは、日本企業との投資提携の成功事例についてより多くの情報を求める声が多い。このような日本企業の情報不足により、海外事業者が投資先を検討する際に、日本企業をパートナーとして選択肢に挙げることが少ないという事態を引き起こしている可能性がある。

  このため、平成25年度には、海外事業者との投資提携により成功している日本企業の事例を掲載した「海外事業者との投資提携事例集(協業で未来を拓く)」を公表し、日本企業の視点から、海外事業者との投資提携により得られたメリットや知っておくべきリスク、また、投資提携を進める際にポイントとなる点、留意すべき点なども整理して取りまとめた。

  そして、海外事業者と日本企業との投資提携を一層促進するべく、平成26年度には、海外事業者の視点による「Casebook on Investment Alliances with Japanese Companies」(以下、「ケースブック」という。)を、英語により公表することで、海外事業者が日本市場や日本企業を提携のパートナーとして考慮する参考情報とするとともに、海外事業者が日本の情報を得やすい環境の整備を行い、ひいては我が国における海外事業者との投資提携の定着に資することとした。

  本ケースブックでは、日本に未進出の海外事業者の経営層を主な想定読者とし、日本企業との投資提携によって得られる利益、メリット及びリスクを整理して取りまとめた。本稿では、日本語で当該ケースブックの概要を紹介する。

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