[寄稿]

2023年1月号 339号

(2022/11/30)

事業/財務と法務の視点からみたベンチャーM&Aの最新実務

~事業会社の成長戦略とベンチャーのEXIT戦略としてのM&Aの最新動向とポイント~

鈴木 二功(デロイトトーマツベンチャーサポート スタートアップ事業部M&Aアドバイザリーリーダー)
石田 渉(森・濱田松本法律事務所 弁護士・ニューヨーク州弁護士)
  • A,B,EXコース
※本記事は、M&A専門誌マール 2023年1月号 通巻339号(2022/12/15発売予定)の記事です。速報性を重視し、先行リリースしました。 

1. はじめに

 本年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」においてベンチャー投資の実現が主要課題として示され、ベンチャー企業の育成・投資やIPOのみならずM&Aや大企業とのオープンイノベーションの推進が重要な政策課題に掲げられている。

 そのような状況も相まって、事業会社・ベンチャー企業の双方でベンチャーM&Aへの考え方も変化してきている。事業会社側では、コロナ禍を契機にDX化等の新たな技術への対応と人材確保が急務となる中、時流を敏感に捉えたサービスを提供し新たな顧客層を持つベンチャー企業の買収により、自社単独での新規事業開拓よりもスピーディーな事業の多角化・アップデートを実現しようとする動きが活発化している。

 一方、ベンチャー企業側では、事業会社との連携を通じて経営基盤・管理体制・資金力を早期に補完するべく、単なる事業提携ではなくM&Aを検討するケースも増加してきている。

 本稿では、事業会社・ベンチャー企業さらには投資家のそれぞれの立場からベンチャーM&Aをサポートしている事業/財務・法務アドバイザーが連携し、ベンチャーM&Aを取り巻く最新動向等を説明するとともに、ベンチャーM&A成功の実務上のポイントを解説する。

2. ベンチャーM&Aの最新動向

(1)ベンチャー企業を取り巻く最新動向

 ベンチャー企業の資金調達市場は近年拡大を続けており、2021年の資金調達総額(日本国内)は8228億円(前年比2745億円増)と前年を大幅に上回り、2022年は上半期(同年1月~6月)の資金調達額が4160億円を記録するなどその勢いはさらに増している(図表1参照)。

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