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[【事業再生】事業再生案件のM&A実務~PEファンドによる事業再生プロセス(ニューホライズンキャピタル)]

(2020/09/17)

【第6回】PEファンドによる事業再生の具体例

長瀬 裕介(ニューホライズンキャピタル マネージングディレクター)
 前回まで①事業再生スキームの比較(法的整理私的整理)、②事業再生計画の策定(メインバンクとの協力)、③投資実行日(DAY1)の重要性、④100日プラン、⑤その後のハンズオン支援、とPEファンドが関わる事業再生の全体感を解説してきた。今回は、筆者のチームが担当した再生案件を具体的に紹介したい。

1. リスケジュールと金利の減免、事業会社(以下「A社」)との共同投資の事例

(1)案件(対象会社)の概要

事業内容: 駅弁・弁当・料理の製造、販売
創業: 80年超
拠点: 国内本社工場1拠点
従業員数: 正社員約20名、パート約70名

(2)案件の背景
  • 対象会社は80年超の歴史を持ち、地域密着の駅弁の製造販売を行う会社
  • 同地域では抜群の知名度があり、昔ながらの駅弁でファンも多いが、コンビニや駅ナカ店の充実により競争が激化、長期にわたり業績が低迷していた
  • 過去に銀行借入を利用して過大な設備投資(工場の新設)を行ったが、見合う売上が計上できず、借入金の弁済は長期に渡りリスケで凌ぐ
  • いよいよこれ以上のリスケが難しくなり、メインバンクから事業を整理(従業員の整理解雇を含む)したうえで、不動産(本社工場の土地建物)を売却し、借入金を返済することを迫られていた
 しかし、同地域に密着した事業会社(A社)とファンドが共同して事業再生に取り組むことで、工場稼働率の上昇、財務体質強化、資金繰り改善、そして組織統合によるコスト削減が見込まれ、事業再生(雇用の確保含む)が可能と判断されたため、A社と協議し、共同投資が実現した。

(3)投資スキーム(図1)
  • 同地域密着のA社とファンドとの共同投資
    • 創業家から備忘価格に近い価格で株式を取得
    • 第三者割当増資により真水(運転資金・成長資金)を注入
    • 金融債権については2年間のリスケと金利の減免(債権カットなし)
  • 株主間契約
    • 重要な経営意思決定事項については両株主の合意
    • 役員の派遣人数
    • ファースト・リフューザル・ライト(先買権)
    • ドラッグ・アロング(強制売却権)
(図1)
 
  • 金融機関との交渉
    • A社とファンドの担当者が協力してメインバンク他、全取引銀行と交渉
    • A社の信用力、第三者割当増資による資本増強を説明する事で、2年間のリスケと利息の減免に全行が合意
(4)本案件のポイント
  • A社の存在
     本案件は当初、再生は難しいと判断していた。しかしA社と太いパイプを持つファンドのメンバーが、A社とのシナジー効果を検証し、共同して経営すれば十分再建が可能と判断された。その後、A社に共同投資スキームを提案し、投資が実現した。…
■筆者履歴
長瀬 裕介(ながせ・ゆうすけ)
あずさ監査法人に7年間勤務。製造業、商社、情報通信業の企業を中心とする監査、IPO支援業務等に従事。成長過程にある企業の経理全般、管理会計の整備等を経験。 2013年にニューホライズンキャピタルに入社し、投資実行、投資後のハンズオン支援からEXITに至る一連の業務を担当。特に再生案件における金融調整、リストラクチャリングから投資実行後の経営企画・管理部門の強化を担当。丸茂工業案件では取締役として投資直後の原価計算制度の構築からEXITまで一貫して関与し、CFOを補佐・監督した。その他、万葉軒の監査役、たち吉の取締役を歴任。横浜国立大学経済学部卒。

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