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[【企業価値評価】事業法人の財務担当者のための企業価値評価入門(早稲田大学大学院 鈴木一功教授)]

(2019/04/17)

【第3回】より遠い将来に発生する予想キャッシュフローの現在価値計算と成長型永久債の現在価値の公式

鈴木 一功(早稲田大学大学院 経営管理研究科<早稲田大学ビジネススクール>教授)
1.現在価値の計算方法 : 1年より遠い将来に発生する予想キャッシュフローの現在価値

  連載の第2回では、資産(や企業)の価値について、ファイナンス理論が考える資産の理論的価値とは、その資産を保有することによって将来発生する予想キャッシュフローの現在価値を合計したものであるということを説明しました。そして、将来発生する予想キャッシュフローの現在価値は、予想キャッシュフローの金額を、現在からその発生時期まで投資して運用した場合の、投資の収益率(割引率)で割り引くことで求められることを解説し、具体的に1年後に発生するキャッシュフローの現在価値を求める方法を説明しました。

  それでは、1年より遠い将来に発生する予想キャッシュフローの現在価値は、どのように計算されるでしょうか。もっとも一般的に用いられているのは、1年後以降たとえば、2年後に発生する予想キャッシュフローについては、1年後にいったん元本と利息を受け取って、それを合算して再度1年間運用したと仮定して、投資の収益を計算する方法です。これを「1年複利計算」といいます。この計算方法について、連載第2回の例で示した、投資元本が100,000円、投資収益率が、1年を超えた期間についても年率(1年間)1%である前提で考えてみましょう。

  1年複利計算とは、1年後に元本と投資収益を合わせて101,000円になったお金を、さらにもう1年1%で投資する(「再投資する」と呼びます)という考え方に基づく、投資収益の計算方法です。この場合、2年後には、元本(101,000円)と利息(1,010円=101,000円×1%)の合計で102,010円を受け取れます。逆にいえば、2年後に発生する102,010円の予想キャッシュフローの現在価値は、(いますぐ受け取る100,000円を2年間運用した結果が102,010円だから)100,000円だ、といえることになります。この102,010円は、元本と投資収益を合算して計算すると考えると、100,000円×(1+1%)×(1+1%)、すなわち、100,000円×(1+1%)2 と書くこともできます。

  一般的に、1年複利を前提とした場合のn年後に発生する予想キャッシュフロー(CFn)の現在価値は、以下の式で計算されます。


  先の事例でいうと、CF2=¥102,010、r=1%=0.01なので、現在価値は、

と計算されます。

2.予想キャッシュフロー、投資収益、現在価値の関係

  ここまでの事例で示した、予想キャッシュフローと現在価値の関係を図にまとめると、次の図3-1のようになります。

図3-1  予想キャッシュフローと投資収益、現在価値の関係



  図の左側から右側へと、順を追って見ていきましょう。図の左端には、現在の100,000円があります。これを投資の元本として、投資収益を生んで増えていく様子が、順に示されています。中央にある1年後の101,000円は、100,000円の投資元本と、投資収益の1,000円を加えたものになります。右端にある2年後の102,010円は、100,000円の投資元本と、投資収益の2,010円を加えたものです。

  それでは、見方を変えて…


■鈴木 一功(すずき かずのり)
早稲田大学大学院経営管理研究科(早稲田大学ビジネススクール)教授
東京大学法学部卒業後、富士銀行入社。INSEAD(欧州経営大学院)MBA(経営学修士)、ロンドン大学(London Business School)金融経済学博士(Ph.D. in Finance)。M&A部門チーフアナリストとして、企業価値評価モデル開発等を担当の後、2001年から中央大学大学院国際会計研究科教授。2012年4月より現職。証券アナリストジャーナル編集委員、みずほ銀行コーポレート・アドバイザリー部のバリュエーション・アドバイザー。主な著書として『企業価値評価(入門編)』、『企業価値評価(実践編)』、『MBAゲーム理論』(いずれもダイヤモンド社)、他にコーポレート・ファイナンス、M&Aに関する論文多数。

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