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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2018年12月号 290号

(2018/11/15)

第138回 クロスボーダーM&Aにおけるオーナー企業バイアウト案件の留意点

吉永 秀宣(PwCアドバイザリー合同会社 エグゼキューション・チーム)
 日本企業が買手となって、海外のオーナー企業を買収するM&A案件は多数あるが、本稿では案件を遂行する中で実際に見られる対象会社がオーナー企業である場合に特有の典型的な留意点について極力実務的な観点で記載したいと思う。なお、文中の所見や見解は筆者の過去の経験に基づく私見である。


スケジュールおよびプロセス管理

 オーナー企業であるため売手側の意思決定は早いが、買手である日本企業は社内の一定の手続きを経る必要があるため時間を要するというのはよく言われることである。確かに、日本企業では、案件の規模で決済レベルが異なって来ることが多いものの、比較的小規模な案件であっても契約交渉の場で即断即決はできず、契約締結などの主要なマイルストーンでは取締役会を含め、幾つかの会議体で承認を得る必要がある場合や、それに加え案件担当の各役員への事前説明などのステップを踏むことが求められる場合もある。

 しかし、売手側は売手のオーナーに権限が集中しているがために、オーナーが不在で逆に話が一向に進まないというケースもある。例えば、オーナー社長が営業の中心であるような会社で、顧客訪問、現地視察や展示会などで1週間単位の海外出張に出てしまい連絡が取りづらくなることもあれば、長期の休暇取得で旅行に出かけ、電話が余り通じず、メールも殆ど確認しないようなこともある。実際、買手側に事前に知らせずに出かけてしまい、予定していたミーティングが実施できずにスケジュールに影響を与えてしまうようなこともあった。その際には、ミーティングの再設定はもちろん、買手側の参加者の予定を改めて調整するなどの手間が発生する事態になってしまった。買手側はこのような事態を回避すべく留意しながらプロセスを進めるのであるが、売手側がアドバイザーを起用していないか、売手アドバイザーがオーナーを全くコントロールできていないような状況ではこの様な混乱が起こり得ると考えている。

 また、M&Aに対する知識や経験がないオーナーは、クロージングを急ぐ特段の事情がなければ一定の時間枠内で手続を完了という時間的感覚を持っておらず、悠長に構えてしまい、買手と足並みが揃わないこともあるが、買手の想定するスケジュールを共有しながら、オーナーにコミットさせても、実際のところその効果は限定的とならざるを得ないことが実情であったりする。


取引ストラクチャー

 売手オーナーは、個人株主として自分自身にかかる課税関係に強い関心を持つことは自然であり、

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