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[寄稿・寄稿フォーラム]

2020年10月号 312号

(2020/09/15)

新M&A指針公表後の実務

玉井 裕子(長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士)
西村 修一(長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士)
濱口 耕輔(長島・大野・常松法律事務所 パートナー弁護士)
1. はじめに

 昨年6月28日に経済産業省が策定した「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて」(以下「本指針」という。)が公表されてから早くも1年以上が経過した(注1)。

 この間、本指針が直接の対象とするMBO又は支配株主による従属会社の買収(以下単に「支配株主による買収」という。)に該当する取引として公表された案件は件数にして30件(うちMBO 11件、支配株主による買収19件)に上る(注2)。本稿は、これらの事例に関する開示資料を調査した結果を踏まえ、本指針が実務にどのような影響を与えているのかについての分析を試みるものである。


2. 特別委員会

(1) 総論

 本指針においては、その中で取り上げられている個別の公正性担保措置の中でもとりわけ特別委員会の重要性、さらにはこれを有効に機能させるための実務上の工夫のあり方に力点が置かれている。本指針の公表前から、MBO又は支配株主による買収の事案においては特別委員会を設置するのが通例であった一方で、特別委員会による審査が形骸化しているのではないかという指摘もなされていた。本指針の公表後は、本指針における提言の内容も踏まえて、特別委員会を実質的に機能させるための実務上の工夫がなされている。

(2) 特別委員会の設置時期

 特別委員会の設置時期について、本指針は、対象会社が買収者から買収提案を受けた場合には、可及的速やかに、特別委員会を設置することを推奨している(本指針3.2.4.1)。本指針公表後の事案では、ほぼ全ての事案において買収者の提案から概ね1カ月以内に特別委員会が設置されており(30件中27件)、本指針での提言を受けて、特別委員会を早期に設置することが重要という認識が実務でも広く浸透していることが窺える。

 初動の遅れにより特別委員会の設置が遅れてしまうとこのような実務から外れることになるおそれがあるので、対象会社としてはMBO又は支配株主による買収の可能性を認識したタイミングで、早期に法務アドバイザーを起用した上で、特別委員会の設置についての検討を開始する必要がある。

(3) 委員の構成

 本指針では、委員の構成に関して、社外取締役のみで構成するのが一番望ましいとされ、社外監査役は、社外取締役のみでは委員を構成するのに十分な人数が確保できない場合に社外取締役を補完するものとして位置づけられている。また、社外有識者については、これらの社外役員に加えて、委員として選任することは否定されていないが、まずは社外役員の中から選任することを検討すべきというのが本指針の立場である(本指針3.2.4.2)。

 特別委員会の委員の構成としては、社外有識者を委員に含む事例がまだ全体の過半数を占めているものの(30件中19件)、社外役員のみで構成する事例も30件中11件存在する。

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