[Webインタビュー]

(2020/04/08)

【第117回】【メディアドゥHD】地元金融機関、メディアと組んで「一般社団法人徳島イノベーションベース」を立ち上げた狙い

藤田 恭嗣(メディアドゥホールディングス 代表取締役社長 CEO)
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徳島にイノベーションを


―― メディアドゥホールディングス(HD)はこのほど、一般社団法人徳島新聞社、四国放送、阿波銀行、徳島大正銀行と共同で、一般社団法人徳島イノベーションベース(TIB)を設立し、代表理事に藤田恭嗣社長が就任されました。藤田社長ご自身も徳島県出身の起業家ですが、TIBを設立された経緯を聞かせてください。

「まず大きな契機となったのは、私がEO(Entrepreneurs’ Organization)Tokyoの第24期会長に就任したことがあります。EOは、1987年に米国で設立された、起業家のみで構成される世界的な組織です。入会資格は、年商100万ドル以上でかつ、創業者であること。そして現会員からの紹介を受けていること。現在世界で急速に成長を遂げ、今では62カ国、1万4000人を超える総会員数の組織になっています。

 EO Tokyoはその日本支部として、1995年10月にグロービスの堀義人社長(EOジャパンファウンダー)を中心に日本の起業家が集まり、アジア初のチャプター(支部)であるEOジャパンが設立されたのが始まりです。日本については全国8チャプター、600人を超える組織になっています。その中でもEO Tokyoは世界最大の会員規模を誇るチャプターになっており、2020年1月時点で総勢338人(総売上高1兆4534億円)にも及ぶ会員を有しており、特にここ数年は毎年大幅な会員増となっています。

 会員の年齢は20代から60代、企業規模は売上1億円を超えたばかりの会社から1000億円を突破している会社、上場している会社はもとより、時価総額1000億円を超える企業価値の上場会社まで、非常に多様化しています。ここ最近は毎年EO Tokyoメンバーの中から複数社がIPOや上場市場を変更しています。同時に、IPOした後に、その後の成長機会を求めてEO Tokyoに入会される上場経営者の方も増えてきています。

 EOに入会する価値は、一言でいうと、EOの活動を通して大きな刺激を受け、経営者として人間的な成長を遂げることだと言えます。また常に孤独である経営者が一生涯の信頼出来る友を得られることも大きなベネフィットです。『創業経営者』であり、『高い志と成長意欲』を持ち、かつ、『共通の言語・価値観』のトレーニングを受けた、互いに刺激し合う多くの『仲間』がいることです。そして、EOの場合、その『仲間』の規模は、日本国内にとどまらず、世界中に広がっているのです。それによって、事業を成長させ、社会に貢献でき、家庭も、個人としても、コミュニティの一員としても、自身が目指す成功が実現しやすくなるのです。この仕組みを知って事業を進めるのと、知らずに我流でやるのと、成功確率が全然違うということを私自身が実感したものですから、こうした仕組みを地域貢献に生かしたいと考えたわけです」

地元メディア、金融機関と手を組んだ理由

―― 今、地方のイノベーションが大きな課題となっています。福岡など、ベンチャービジネスが盛んになっている地域も出てきていますが、TIBの設立にあたってメディア、金融機関と手を組んだのはどうしてですか。

「まず、一番最初に考えたのは、人が集まるスペースを作ろうということでした。スペースを作るにおいてどういうコンセプトがいいかと考えたときに、一般のコワーキングスペースであれば学生でも会社員でも使えます。そういう場でありながら、経営者も集う場所がほしかった。経営者がたくさん集まるというコンセプトでスペースを作ることができれば、色々な人たちが交流できるというアイデアがまず生まれました。次に、コワーキングスペースを運営しようとするとコストがかかります。さらに、我々の活動を広く地元の人たちにわかってもらわなければなりません。

 若い人たちが起業家になろうと志しても、親が『公務員になりなさい』、『学校の先生になりなさい』、『起業家を目指すなどとんでもない』とだけ教育をしていたのでは、そもそも起業家の芽が育たないと思いました。そこで、地元の経営者をよく知っている金融機関に経営者の皆さんへ声をかけていただく、メディアの皆さんには起業に対するネガティブな印象を払拭していただくという面でご協力いただきた...

■ふじた・やすし
1973年徳島県・那賀町木頭地区(旧木頭村)生まれ。1994年大学3年生時に創業、大学卒業とともに法人を設立。「ひとつでも多くのコンテンツを、ひとりでも多くの人へ」をビジョンに、電子書籍などのコンテンツを世界へ向けて流通できるプラットフォームを提供する電子書籍流通事業を展開。2013年東証マザーズ上場。2016年東証市場第一部へ市場変更。2017年持株会社体制へ移行し、会社名を「メディアドゥホールディングス」へ変更。東証一部上場企業の代表を務める傍ら、故郷木頭の復興にも取り組んでいる。


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