[Webインタビュー]

(2017/05/17)

【第83回】東芝は上場廃止をして経営を立て直すのが筋

~半導体事業は産業革新機構‐KKR連合への売却が妥当

 田中 博文(ジェイ・キャピタル・パートナーズ 代表取締役)
  • A,B,C,EXコース

17年3月期は最終赤字9500億円、初の債務超過

―― 米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)を巡って監査法人と意見が対立している東芝は5月15日、2017年3月期の連結業績に関して監査法人から決算の承認を得られないまま独自概算値として概要を公表しました。3月末にWHが米破産法適用を申請したことで、連結最終損益は前期の4600億円の赤字から9500億円の赤字に拡大し、自己資本は5400億円のマイナスとなって、決算期末では初の債務超過に陥りました。これについてはどのように捉えていますか。

「東京証券取引所の上場ルールでは、決算期末から45日以内に決算短信を公表することが適当とされていて、3月期決算の東芝では5月15日が決算発表のメドとなっていたわけです。WHの巨額損失を巡って監査法人のPwCあらたと意見が対立し、適正意見を得る見通しが立たないまま独自概算値として発表せざるを得なかったということですが、数字云々よりもこうした形で開示を行うこと自体が問題だと思います。監査法人が意見不表明のままの決算開示を認めていては上場の意義自体が揺らぎ、日本のマーケットのレーゾンデートルに関わります」

上場廃止が本筋

「これまで東芝については、この3月末に債務超過に陥る可能性が高いことを受けて、『東証2部に指定替え』との報道もでていましたが、個人的には特設注意銘柄に対する上場廃止が筋だろうと考えています。

 特設注意市場銘柄というのは、有価証券報告書等の『虚偽記載』や不適正意見、上場契約違反等の上場廃止基準に抵触するおそれがあったものの、金融商品取引所の審査の結果、影響が重大とはいえないとして上場廃止に至らなかった銘柄のうち、内部管理体制等の改善が必要で、継続的に投資家に注意喚起するために取引所が指定する銘柄とされていまして、これはオリンパス事件の時に新たにできた制度です。東芝は15年9月15日に東証から『特設注意市場銘柄』に指定され、さらに16年12月19日に指定継続となっています。

 また、当該指定から1年6カ月を経過した日(17年3月15日)以降に東芝から提出される内部管理体制確認書の内容を確認し、内部管理体制等について再度改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となります。もし市場第二部に指定替えになるとすれば、そのタイミングはシャープと同様、16年度の決算が確定する6月の株主総会後、有価証券報告書が提出されたタイミングということになるでしょうが、特設注意銘柄の指定解除か上場廃止の判断も同時期である可能性が高い。個人的にはどう考えても上場廃止であると見ています」

産業革新機構‐KKR連合への売却が最有力

―― 東証の上場廃止基準(東証1部・2部)によると…

 

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