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(2018/08/10)

座談会「M&A新時代 ― 株対価M&Aの幕開け」のポイント ~ 基礎講座編 ~

  マール8月号の特集座談会のタイトルは「M&A新時代 ― 株対価M&Aの幕開け」とちょっと刺激的ですが、2018年7月に施行されたばかりの改正産業競争力強化法(以下、強化法)によって、株対価M&Aが画期的にやりやすくなり、本格的に使われる時代に入ったからです。本稿では、そのポイントを基礎講座風に解説したいと思います。実務専門家にはちょっと物足りないと思いますが、座談会本文を読む準備運動と思って、お付き合いください。

株対価M&Aとは

  会社が他の会社を買収する場合、どんなスキームであれ、対象会社(S社)株主は保有するS社株を買収会社(P社)に渡して、P社から対価を受け取ります。そして、その対価が現金の場合は現金対価のM&A、買収会社P社の自社株(又はその親会社株)の場合は株対価のM&Aと呼ばれます。前者は要するに株式の現金売却で、相対取引や対象会社S社が上場会社の場合はP社によるTOB(公開買付け)によることが多いと思います。

  一方、株対価M&Aですが、国内で最も普通に使われているスキームは、株式交換・株式移転と合併です。これらは、会社法上「組織再編」と位置付けられ、株主総会の特別決議で承認されれば、すべてのS社株主が株式の交換取引を強制されることになります。その代表的手法である株式交換を例にとると、株式の交換取引の結果、すべての対象会社S社株主は買収会社P社株主に変身し、P社は自社株対価でS社株を100%買収したことになります。100%買収に限られる、外国会社には使えないなど、使い勝手の面で制約・難点もありますが、キャッシュレスで買収ができるという大きなメリットがあります。しかも、後で述べますが、S社株主における株の交換取引に対する譲渡益課税が繰り延べられるという、決定的なメリットがあります。

  株式交換等の「組織再編」以外の株対価M&Aのスキームとしては、(後述の通り税制がネックとなって実際にはほとんど使われていませんが、)「株対価TOB」や「相対取引」が考えられます。例えば、株対価TOBでは、P社株対価でS社株の公開買い付けをし、二段階目に現金によるスクイーズアウトを組み合わせれば100%買収が可能です。相対取引では、例えば、オーナー社長保有のS社株をP社株対価で買い取ることで、オーナーはP社の大株主となり、パートナーシップ的会社運営が可能になります。100%未満の買収も含め、いろいろな使われ方があると思いますが、いずれにしても買収会社の目線からは、自社株(P社株)対価の買収という理解の仕方が自然です。しかし、会社法上は、この取引はP社による募集株式の発行(第三者割当)において、S社株主が保有株を「現物出資」したと位置付けます。主語が逆転したような感じがします。

  さて現物出資による増資となると、会社法には厳しい規制があります。資本が増えるのだから、その増資額に見合う価値の財産がちゃんと出資(払い込み)されているかをチェックする等の規制です。「資本充実の原則」という考え方から生まれた規制ですが、似たような経済効果を持つ「組織再編」に比べて、厳しすぎるという見方もあります。

  以下では、株対価TOBを例にとって、この会社法上の規制について見ていきます(ここでは買収会社、対象会社ともに上場会社とします)。まず有利発行規制です。現金TOBの場合…



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安藤 元太(経済産業省 産業組織課 課長補佐<当時>)
中山 龍太郎(西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士)
松尾 拓也(西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士)
武井 一浩(西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士)(司会)

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