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(2020/07/29)

コロナ禍で異例ずくめの定時株主総会を総まとめ

 今年の定時株主総会は、新型コロナ禍の影響により、開催時期や総会運営、議決権行使など様々な面で異例ずくめとなった。その主なものについて、上場企業や監督官庁などの動向をまとめてみた。

1.開催時期

(1)定時株主総会

 新型コロナ禍に伴って、4月7日に7都府県で緊急事態宣言が発出され、16日には対象地域が全国に拡大し、在宅勤務を余儀なくされるなど決算・監査作業に遅れが生じた。この結果、株主総会のスケジュールにも一部影響が出た。3月期決算企業は、決算日から3カ月以内の6月末までに定時株主総会を開催するのが通常である。新型コロナ禍の影響を受けながらも、大部分の企業が6月中に定時株主総会を開催できたものの、例年よりも6月後半に集中する傾向がみられた。

 東京証券取引所が東証1部、2部、マザーズ、ジャスダック上場の3月決算企業を対象に総会開催日を集計した結果によると、今年の総会集中日である6月26日の開催企業は全体の32.8%にあたる747社と、昨年の集中日の30.9%に比べ2ポイント近く上昇した。また、今年は月末最終週の29日(月曜日)に96社(4.2%)、30日(火曜日)に30社(1.3%)と100社超が開催しており、日程確保のために少しでも後ろに設定しようと考える企業が多かったことも特徴として挙げられる。なお、7月以降に開催日をずらさざるを得なかった企業は日立製作所や東芝をはじめ50社超に達した(図表1)。
 



(2)継続会

 継続会とは、計算書類や監査報告が確定せず定時株主総会に報告できない状況に対応したもので、当初予定した時期に定時株主総会を開催し、取締役の選任等のとりあえず決めておかなければならない事項を先に決議し、併せて続行(会社法317条)の 決議を行う。そして、計算書類や監査報告等については、その後開催する「継続会」において報告するというものである。継続会については、これまでに開催された実例が多くないことから、金融庁・法務省・経産省の連名で出された「継続会(会社法317条)について」にて、定時株主総会と継続会の間の期間は3カ月を超えないことが一定の目安になるなど、円滑な実務に向けた指針が公表された。

 なお、前述の東京証券取引所の集計によると、継続会の開催方針を適時開示した会社は24社となっている。


2. 総会運営

(1)来場者数の抑制

 新型コロナ禍の中、より安全に企業が株主総会を開催するために、経産省と法務省から株主総会の運営上想定される事項について「株主総会運営に係るQ&A」として考え方が公表された。これにより、新型コロナウイルスの感染拡大防止のためには、株主の人数を制限したり会場に株主が出席していない状態で株主総会を開催することなど、下記の事項が可能であることが示された。

株主に来場を控えるよう呼びかけること
会場に入場できる株主の人数制限や会場に株主が出席していない状態で株主総会を開催すること
株主総会への出席について事前登録制を採用し、事前登録者を優先的に入場させること
ウイルスの罹患が疑われる株主の入場制限や退場を命じること
株主総会の時間を短縮すること

 このほか、来場者数抑制のために、来場者へのお土産を取りやめる企業も現れた。

 また、日本経団連からは、来場株主の数を一定程度限定することや原則として会場への来場を遠慮してもらい役員のみでの開催を想定した招集通知の記載モデルが示された。なお、役員のみの総会開催については、伊藤忠商事やエイベックスが実施を公表した。


(2)バーチャル株主総会

 取締役や株主等が一堂に会する株主総会(リアル株主総会)を開催する一方で、リアル株主総会の場に在所しない株主がインターネット等の手段を用いて遠隔地から参加/出席することができるバーチャル株主総会についてのガイドラインが経産省から示された。これは経産省が2019年9月に「新時代の株主総会プロセスの在り方研究会」を立ち上げ、意見募集の結果も踏まえつつ、議論を行ってきたもので、必ずしも新型コロナ禍に対応して検討されたわけではないが、新型コロナ禍の中、感染防止の方法としても注目された。結果的に、株主総会の様子をネットで傍聴できる「参加型」のバーチャル株主総会の開催は80社程度あったものの、ネットを通じて質問を受けたり、議決権行使を行う「出席型」の実施企業は、Zホールディングスやソフトバンクグループなど一部の企業にとどまった。


3. 議決権行使

 議決権行使においても、新型コロナ禍の影響がみられた。議決権行使助言大手のISSでは、通常、過去 5 期平均のROEが 5%を下回りかつ改善傾向にない場合、経営トップの選任議案に反対を推奨するが、新型コロナ禍が企業業績に与える影響を考慮し、このROE 基準の適用を一時的に停止することとした。

 また、継続会を選択した場合、企業は事業報告、計算書類や監査報告書を株主に提供することなく、株主総会を開催することとなるが、この場合、配当額が適切かどうか判断できないことから、剰余金処分議案には棄権を推奨した。また、監査報告書が提供されない場合の会計監査人選任議案や業績連動報酬・取締役報酬枠の増加等の報酬に係る議案についても、判断に必要な情報がないことから棄権を推奨することとした。また、社外取締役・社外監査役選任議案については取締役会への出席状況が開示されない場合、反対を奨励するなど、継続会を選択した企業の様々な議案で棄権・反対を推奨する方針が示された。・・・


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