2020年8月3日、セブン&アイ・ホールディングス(以下、7&i HD)は、同グループの完全子会社である米セブン・イレブン・インク(以下、SEI)が、米石油精製会社であるマラソン・ペトロリアムのSpeedway事業(ガソリンスタンド併設コンビニエンスストアチェーン)を買収することを公表した。SEIによる海外のコンビニエンスストア事業の買収は、06年以降継続してきたが、最近では本欄でも以前記したように18年のSunoco社の同事業買収があった。Sunoco社コンビニ事業買収は、当時7&i HDにとって過去最大規模の買収(約31億ドル)であったが、今回の買収金額はそのおよそ7倍に相当する桁違いの210億ドルに達した。同社の米コンビニ事業の成長性にかける意気込みがひしひしと伝わってくる。買収金額そのものでみても今回の買収は日本企業によるものでは歴代4位と巨額となっている。
7&i HDの資料によると、今回買収対象となったSpeedway事業は全米第3位のコンビニチェーンを展開(36州で約3900店舗)しており、フランチャイズ(FC)なしのすべて直営店である。すべてガソリンスタンドに併設されており、ガソリンブランドに対する顧客のロイヤリティは高いようだ。この買収で、米国で展開するSEIの店舗数は1万3000店舗近くとなり、店舗数で見た全米シェア(19年末時点)は5.9%から8.5%へと大きく上昇することになる。寡占化が進んだ日本に比べるとトップとはいえそのシェアは低いが、2位のAlimentation Couche-Tard(カナダ)の3.9%を大きく上回る。更に業績面をみると、両事業(商品販売とガソリン販売、19年実績ベース)の売上は70%以上拡大、営業利益に至っては倍の規模(SEI単独では11億ドル⇒合計22億ドル)へと膨れ上がる。また、グループ全体への寄与については、連結営業利益に占める割合が19年の24%から33%程度にまで高まることになり、EPSは5年間の
年平均成長率で8%超が見込まれている。Speedway買収がグループ全体に多大なインパクトをもたらすことになりそうだ。...