安倍政権は対内直接投資拡大のための施策を打ち出してきたが… 多くの国は、これまで、成長を促進するための方策として、積極的に海外からの投資を受け入れることに注力してきた。とくに、同じ国際的な資本移動のなかでも、直接投資は証券投資と違って、技術移転やノウハウなどの経営資源の移転を伴う資本移動であるため、投資受け入れ国にとっても生産性向上といった恩恵を得られる。国内産業を高付加価値化し、グローバル競争に打ち勝つためには、とくに対内直接投資の積極的な受け入れが必要だ。 だが、日本の対内直接投資をみると、国際的にみても、また、対外直接投資との比較でも圧倒的に低水準という状況だ。UNCTAD(国連貿易開発会議)の統計で、2016年末の対内直接投資残高の対GDP比を国際比較すると、米国が34%、イギリスが46%、フランスが28%、ドイツが22%に対し、日本は4%にとどまる。また、日本の国際収支統計によれば、対外直接投資の対GDP比は2017年末の対外直接投資の対GDP比は32%だが、対内直接投資の対GDP比は5%にすぎない。 イギリスは少なくとも2016年にBREXITが決まるまでは、海外からの資本を取り入れることによって、経済停滞に歯止めをかけることに成功した国の1つだった。 イギリスは18世紀産業革命以降…