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[M&A戦略と法務]

2013年7月号 225号

(2013/06/15)

シンガポールにおけるM&A

 関川 裕(TMI総合法律事務所シンガポールオフィス 弁護士)

第1 はじめに

   シンガポールは国土が東京23区をやや上回る程度、人口は外国人を含めても530万人強と非常に小さな国であり、不動産や人件費等のコストも高いため、消費市場や製造拠点としての注目度は決して高くはない。しかしながら、安定した金融システム、充実したインフラ、優秀な人材、地理的優位性、積極的な優遇税制等を背景に「東南アジアのハブ」として確固たる地位を築いている。

   最終的な市場がタイ、インドネシア、ベトナム等の東南アジア諸国であったとしても、各国に販売網を有している企業が統括会社をシンガポールに置いている場合やブランド構築のためにシンガポールで販売を行う場合等、シンガポールが東南アジア展開の足掛かりとなることが多い。また、シンガポールでは新規の会社設立が容易であるため現地法人を設立することによってシンガポールへ進出する場合が比較的多いが、販売網の確立やブランド構築の時間節約のためにシンガポール企業の買収や株式取得等のM&Aを行うことも少なくない。 

   シンガポールにおけるM&Aの件数及び規模は決して少なくはなく、2010年の数字ではあるが、件数が775件、金額にして395億ドルであり(注1)、東南アジアでは件数、規模とも多い方である。日本企業が関連したM&Aでは、2010年にキリンホールディングスがシンガポール及びマレーシアにおいて飲料事業を展開するFraser and Neave Limitedの発行済株式総数の14.7%をシンガポール政府が所有する投資会社Temasek Holdings (Private) Limitedの完全子会社であるSeletar Investments Pte Ltdから約13億シンガポールドル(当時の為替相場によると約846億円)で取得した事案や、2012年に大陽日酸がシンガポール子会社を通じた公開買付によりLeeden Limitedの発行済株式総数の90%を7580万シンガポールドル(当時の為替相場によると約49億円)で買収した事案等がある。

   このように、日本企業にとってシンガポールにおけるM&Aは非常に重要な戦略の1つであるため、本稿ではシンガポールにおけるM&Aの基本的手続を概説する。

第2 M&Aの手法

1 株式取得

(1) 概 要 

   日本企業によるシンガポール企業の買収において一般的に利用される手法はシンガポールの非公開有限責任株式会社の発行する株式の取得である(本項では特に言及しない限り非公開有限責任株式会社の株式取得について述べる。)。なお、シンガポール会社法(”Companies Act (Chapter 50)” 以下「会社法」という)では、「非公開会社」(”Private Company”)はその基本定款又は附属定款おいて、①株式の譲渡を制限しており(注2)、かつ、②株主数を50名以下に限定している会社を意味し、非公開会社以外の会社を「公開会社」(”Public Company”)という(会社法18条1項)。

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