[M&A戦略と法務]

2016年5月号 259号

(2016/04/15)

一般法人・公益法人のM&A手法の整理

 渡辺 伸行(TMI総合法律事務所 弁護士)
 小櫃 吉高(TMI総合法律事務所 弁護士)
  • A,B,EXコース

1 はじめに

  一般社団法人及び一般財団法人(以下あわせて「一般社団/財団法人」という)とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という)に基づき設立される社団法人及び財団法人のことをいい、法令や公序良俗に反しない限り、その目的や事業を自由に定めることができる。そのため、株式会社等と同様の営利事業を行う場合のほか、公益又は非営利の事業を行うためにも多く利用されている。(注1)

  また、一般社団法人及び一般財団法人のうち、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(以下「認定法」という)に基づく公益認定を受けたものは、それぞれ公益社団法人及び公益財団法人(以下あわせて「公益社団/財団法人」という)となり、税制上の様々な優遇措置を受けることができる一方、公益認定を受けるためには、公益目的事業(認定法別表に掲げられた23種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの)を行うことを主たる目的とする必要があり(認定法5条1号)、また、毎事業年度における公益目的事業比率が50%以上となるように公益目的事業を行わなければならない等の事業活動の自由に対する一定の制約を受けることになる。かかる事業目的等の制約をクリアーすることができれば、税制上の優遇措置を受けられる等のメリットが存在するため、例えば株式会社において同様の事業を行うよりも税務コストを抑えた事業経営を行うことが可能となる。

  このような一般社団/財団法人及び公益社団/財団法人を事業遂行の器として利用する場合、新たに法人を設立して行うことのほかに、既存の法人又はそこで行われる事業を取得・活用する例も少なくなく、一般社団/財団法人及び公益社団/財団法人における事業譲渡ないし合併等のM&A事例も近年散見されるところである(合併事例については後述3(1)のとおり)。そこで、本稿では、一般法人及び公益法人に係るM&Aの一般的な手法である、①社員/評議員の交替、②合併、③事業譲渡について、その概要を整理することとする。

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