マイナス成長の日本市場
米国の調査会社IQVIAの最新の医薬品市場予測レポート「The Global Use of Medicine in 2019 and Outlook to 2023」によると、18年の市場規模は米国市場が最大で4849億ドル、14~18年の
年平均成長率は7.2%となっている。一方、日本の医薬品市場の規模は864億ドル、過去5年間の市場成長率は年平均で1.0%と、先進10カ国の中で最低となった。さらに、19~23年の日本市場の成長率は-3%~0%と予測されている。日本市場のマイナス成長の要因として挙げられているのは、薬価引き下げとジェネリック(後発)医薬品の使用の拡大である。18年に73%だったジェネリックの使用割合(数量ベース)は、23年には83%まで上昇、逆に、長期収載品は27%から17%に縮小すると見られているためである。
製薬業界の再編の歴史
こうした中で、新薬開発の競争力を高めるために、05年以降日本では製薬メーカーの再編・統合が進んだ。山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し、アステラス製薬が誕生したのが05年4月、同じ05年10月には大日本製薬と住友製薬が合併し大日本住友製薬が誕生。また05年9月に三共と第一製薬が経営統合し、第一三共(当時は持株会社)が誕生。07年4月には第一三共ヘルスケアがゼファーマを吸収合併。07年10月には、田辺製薬と三菱ウェルファーマが合併し、田辺三菱製薬が誕生するなど業界地図を塗り替えるような再編が行われた。
相次いで再編、統合、買収を繰り返してきた製薬業界だが、その要因として日本市場におけるシェア拡大戦略だけでなく、海外メガファーマの存在があった。
グローバルな製薬業界では、巨額のM&Aが積極的に行われている。その理由の1つが創薬にかかるコストの高さだ。日本の大手製薬メーカーを見ても、新薬開発にかかる期間は10年以上、成功確率は2万5000分の1で、1社当たりの研究開発費は1400億円を超えるといわれる。しかし、世界トップのスイスのロシュの研究開発費は、18年に1兆3000億円を超えている。巨額のM&Aによって資本の拡大を図るほか、資金調達のために大衆用医薬品事業を切り離して、医療用医薬品に特化するなど、事業の選択と集中のためのM&Aが積極的に行われているのである。
ちなみに、世界大手製薬会社トップ10の売上高(18年)を見ると、