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[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2013年8月号 226号

(2013/07/15)

テンプHDの篠原欣子会長、水田正道社長が語る「インテリジェンスの株式取得と総合人材サービス戦略」

篠原欣子会長(左)、水田正道社長

インテリジェンスからの逆プロポーズ

  「ウチに興味はありませんか」――銀座の飲食店で、インテリジェンスホールディングス(以下インテリジェンス)の高橋広敏社長がテンプホールディングス(HD)の水田正道副社長(当時、現社長)にこう持ちかけたのは、2012年6月中旬だった。業界の親しい仲間と情報交換の会合が終わった後、水田氏は高橋氏から「もう一軒、近くでやりませんか」と誘われたのである。

  「アルコールも入っていましたから、『冗談でしょう』という感じでしたね」と、水田氏。実際、話はそれでいったんは終わった。ところが、夏になって高橋氏から「そちらに伺ってもいいですか」という電話が入ったのである。

  「実は、この間言ったことは本気なんですよ」。テンプHDの応接室で、高橋氏はこう言ったという。

   「話をうかがうと、インテリジェンスはKKRジャパンが大株主となっていて、当然いつかイグジットしなければいけない。高橋さんとしては、ウチと一緒にやれればというお話でした。今回、こういう非常にありがたい話がまとまったのも、高橋さんの熱意があったからこそです。その後の交渉の過程で、インテリジェンスは、極めて収益力の高い魅力的な会社だということがわかりました。一緒になる機会をいただけて本当に良かったと思いました。当社が何もせずにインテリジェンスが他社と一緒になることが一番のリスクだと思いました」と、水田氏。

   インテリジェンスは有線放送事業を運営するUSENの子会社であったが経営が悪化し、10年に全株を約325億円で米系投資ファンドのKKRジャパンに売却、同ファンドのもとで経営再建に取り組んできた。その結果、13年3月期の売上高806億6000億円、営業利益77億9000億円と業績を順調に回復させてきた。高橋社長の逆プロポーズをきっかけに話は順調に進み、テンプHDは株式取得金額514億円でインテリジェンスの全株式を取得、13年4月子会社化したが、「その収益力、ブランド力から、当社のメリットは大きい」と水田氏。

   テンプHDの篠原欣子会長も「彼(水田氏)から話を聞いた時、同じ人材サービスのフィールドでも当社は派遣が主体であるのに対して、インテリジェンスは人材紹介やメディア・キャリア関連事業が強いため、本当に願ってもない良縁だと私は思いました」と振り返る。

   テンプHDグループが手がける4つの事業(人材派遣・人材紹介事業、R&Dアウトソーシング事業、アウトソーシング事業、その他)別売上高(別表参照)を見ると、主力事業である「人材派遣、人材紹介事業」が81.9%を占めており、中でも人材派遣の占める割合が圧倒的に大きい。これに対して、インテリジェンスは、メディア事業(パート・アルバイトを中心とした求人広告)、キャリア事業(正社員領域の人材紹介・求人広告)、派遣事業(エンジニア派遣・事務派遣)、アウトソーシング事業(IT運用サポート業務の受託)、その他(ITシステム開発、海外事業)の5事業をコア事業として展開。特に「DODA(デューダ)」ブランドで展開する正社員領域の人材紹介サービス、「an」ブランドによるインターネット及び情報誌などのメディアを活用した求人情報サービスはいずれも国内トップクラスの地位を占め、また、派遣は主要都市を中心に事務、エンジニア領域で、アウトソーシングでは、特にIT・通信分野の運用サポートに強みを発揮している。テンプHDにとってインテリジェンスは、シナジー効果が高く、同社が進める総合人材サービス戦略強化の観点で考えても願ってもないことだった。

   テンプHDの13年3月期連結決算は、売上高2472億3200万円(前期比6.0%増)、営業利益98億4800万円(同20.5%増)、経常利益は101億1900万円(同20.0%増)、当期純利益58億8800万円(同69.1%増)で2年連続の増収増益。売上高、利益とも過去最高を記録した。14年3月期についても、インテリジェンスが加わることから、売上高3650億円(前期比47.6%増)、営業利益185億円(同87.8%増)、経常利益183億円(同80.8%増)、当期純利益90億円(同52.8%増)の大幅な増収増益を見込んでおり、売上高で人材業界3位のパソナグループ1815億円(12年5月期)を大きく引き離し、業界首位のリクルートHDの人材関連売上高5471億円(13年3月期)に次ぐ業界単独2位の地位を固めることになる。

   そのテンプHDはテンプスタッフ設立40周年を迎えた今年6月、創業者で会長兼社長を務めていた篠原欣子氏が代表権を持つ会長に就任、後任の社長に水田正道副社長が昇格するとともに、子会社となったインテリジェンスの高橋広敏社長が副社長に就いた。

   水田氏へのバトンタッチについては、後ほど触れるとして、立志伝中の人物ともいえる篠原氏について見ておこう。

【テンプHDの業績】
テンプHDの業績

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