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[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2014年1月号 231号

(2013/12/15)

TYO――インテグラルと組んで経営改革、ジャスダック市場から東証二部に昇格した広告制作大手の歩み

東証第二部市場へ

吉田博昭社長   TV-CM事業、WEB広告などのマーケティング・コミュニケーション事業を手掛ける広告制作大手ティー・ワイ・オー(TYO)が2013年10月25日、東京証券取引所ジャスダックから東京証券取引所市場第二部へ市場変更した。

  同社は09年、10年の2期にわたって連続赤字に転落、10年10月以来、PE(プライベート・エクイティ)ファンドのインテグラルによる出資・支援のもとで経営の立て直しを進めてきた。その結果、13年7月期の業績は売上高250億円、営業利益14億9300万円、当期純利益8億800万円となり、09年7月期の売上高294億8300万円、営業利益4億100万円、当期純損失18億5600万円に比較すると営業利益で3.7倍、最終損益で大幅黒字転換と収益が急回復。14年7月期についても売上高は6.0%増の265億円、営業利益13.8%増の17億円、当期純利益10.1%増の8億9000万円を見込むなど様変わりの業績となっている。3年にわたってTYOを支援してきたインテグラルは、TYOの東証二部への市場変更を機に持株すべて約44%を市場で売却、エグジットした。

  本レポートでは、同社の創業、経営危機、そしてインテグラルと組んで行われた復活のプロセスを追ってみたい。

グループ拡大に潜む危機

  TYOを創業した吉田博昭社長は、1949年8月神奈川県逗子市に生まれた。祖父は中央大学法学部の大学院長、父は旧財閥系大手企業のサラリーマンという家庭に育った。高校時代は小説家志望、また仲間と8ミリ映画の制作にも熱中したという。その後、早稲田大学文学部仏文科に進学したが、在学中に早くも吉田氏に転機が訪れる。友人の兄が広告関係の仕事をしており、8ミリ映画制作の経験を買われて、CM制作の手伝いをしてほしいと頼まれたのだ。そのCM制作に当たって相談したのが、ソニー・ピクチャーズエンターテインメントから円谷プロに転じた映画プロデューサーで、当時円谷エンタープライズの社員をしていた森島恒行氏であった。結局、これをきっかけに吉田氏は大学を中退、クリエーターの世界に足を踏み入れることになり、森島氏の紹介で円谷エンタープライズに入社。その後、6回の転職を経て75年に当時TV-CM制作で最大手の日本天然色映画に入社。同社では、資生堂の「ゆれるまなざし」など数々のヒットCMを制作、広告業界の花形ディレクターとして才能を開花させていった。その後、“クリエーターによる理想の会社作り”という夢を抱いて、82年4月、日本天然色映画の仲間5人と出し合った1000万円を資本金に六本木のマンションの一室でTYOを旗揚げした。

  「当時流行った“ブティックカンパニー”です。社名は5人がそれぞれ出し合って多数決で決めました。僅差で私がだした〝TYO〞に決まったのですが、TYOとは航空会社が東京を表す時に用いる都市コード。それに“東京スピリットを世界に”という思いを込めました」と、吉田氏。

  広告業界の一騎当千の5人がタッグを組んだ企業だけに、業績は順調に伸びていった。そんな中、吉田氏は新たな挑戦を行う。CM制作に飽き足らなかった吉田氏は、87年11月、自ら原案、脚本、制作、監督という1人4役でつくり上げた長編映画『ゴキブリたちの黄昏』を公開。翌88年からは本場ハリウッドに居を構え、映画製作に取り組むことにしたのである。

  しかし、91年に完成したハリウッドでの第1作『アイアン・メイズ〜ピッツバーグの幻想』は、東京国際映画祭で脚本賞を受賞したものの、興行が伸びず失敗作に終わった。そして、吉田氏の足かけ3年に及んだハリウッドでの映画制作を断念せざるを得なくなる事態が起こった。日本経済のバブル崩壊の影響を受けてTYOの業績が急速に悪化したからである。事実、帰国前年の90年9月期のTYOの売上高は過去最高の39億円を計上していたが、吉田氏が帰国した91年9月期は33億円と創業以来初の大幅減収減益となってしまった。

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