[マールレポート ~企業ケーススタディ~]

2010年3月号 185号

(2010/02/15)

カーライルをパートナーに自動車アフターマーケットで飛躍を図る 膨大な部品データベースで業界トップシェアに。今後はサプライチェーン・ビジネスへの転換と海外進出へ。

編集委員・池田耕造
  • A,B,EXコース

オリンパスグループからMBO

ブロードリーフは二〇〇九年一一月、オリンパスの子会社で、情報通信サービス事業を基盤にサービス&ソリューション事業を展開しているITX(ヘラクレス市場上場)からMBOで独立した。具体的には、ITXが九九・九四%、オリンパスが〇・〇六%を保有していたブロードリーフの全株式を米国のプライベート・エクイティ投資以外の部品も含めて、瞬時に必要な部品群を把握できるのです。自動車は一車種で数万点の部品があり、国産車だけでも一年間で三〇~四〇車種がリリースされますから部品の数は膨大になりますが、われわれのデータベースには過去二四年間の部品データが蓄積されているのです。そのため、一つの部品データから、自動車修理に関わるすべての業務が完結して処理できるようになっているのです」と、大山堅司社会社カーライル・グループがいったん取得(一九五億円)し、その後ブロードリーフの経営陣とカーライルが株式を共同保有するというスキームである。
ブロードリーフは、自動車関連部品データベースを独自に構築し、これを整備・鈑金業向け見積書・作業指示書自動作成ソフトや部品商向け販売管理ソフトなどの業務支援ソフトとセットで提供することによって、修理・車検などの自動車アフターマーケット業界の業務効率化を図るというビジネスモデルで業績を伸ばしてきた。
「バンパーを例にとりましょう。バンパーが壊れると修理工場が交換部品を部品屋さんに発注します。この際、当社のデータベースを使うと、修理が必要なバンパーの型番を入力するだけで、そのバンパーを支えている留め金などの関連部品に至るまで自動的に呼び出される仕組みになっています。これによって自動車修理工場では、純正ブロードリーフは二〇〇九年一一月、オリンパスの子会社で、情報通信サービス事業を基盤にサービス&ソリューション事業を展開しているITX(ヘラクレス市場上場)からMBOで独立した。具体的には、ITXが九九・九四%、オリンパスが〇・〇六%を保有していたブロードリーフの全株式を米国のプライベート・エクイティ投資以外の部品も含めて、瞬時に必要な部品群を把握できるのです。自動車は一車種で数万点の部品があり、国産車だけでも一年間で三〇~四〇車種がリリースされますから部品の数は膨大になりますが、われわれのデータベースには過去二四年間の部品データが蓄積されているのです。そのため、一つの部品データから、自動車修理に関わるすべての業務が完結して処理できるようになっているのです」と、大山堅司社長。
自動車の販売から車検、修理、廃車、リサイクルと自動車のライフサイクルすべてに、同社の業務アプリケーションが関わっており、そのアプリケーションは国内で約四万五〇〇〇社が導入、ナンバーワンのマーケットシェアを誇っている。
ちなみに、ブロードリーフの〇八年一二月期の業績(単体)は、売上高一六五億三六〇〇万円(前期比九七・九%)、営業利益一七億二三〇〇万円(同一〇九・七%)、総資産八二億九四〇〇万円(同九二・九%)、純資産四四億三八〇〇万円(同一三八・六%)となっている。
大山氏は、今回のMBO決断の背景についてこう語る。

「ITXは、もともとはオリンパスグループの投資育成会社で、〇五年一二月に翼システムからシステム部門の事業譲渡を受け、ITX翼システム(〇六年八月ブロードリーフに社名変更)を設立しました。設立以降は、上場会社であるITXの子会社として事業を展開してきましたが、自動車業界の様相が変化していく市場環境の下、今後お客さまと共に中長期的に自動車アフターマーケットの成長を実現するためには当社のビジネスモデルの転換が必要であり、ITXの賛同も得た上で、MBOで独立する決意をしたのです」

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