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[M&Aトピックス]

(2019/10/31)

第13回M&Aフォーラム賞が決定―M&Aフォーラム賞『RECOF賞』などに4作品を選定

左から柴田 堅太郎(柴田・鈴木・中田法律事務所 パートナー弁護士)、岩田 一政選考委員長(公益社団法人日本経済研究センター代表理事・理事長)、宮崎 淳平(株式会社ブルームキャピタル 代表取締役)、浅岡 義之(西村あさひ法律事務所 弁護士)
左から柴田 堅太郎(柴田・鈴木・中田法律事務所 パートナー弁護士)、岩田 一政選考委員長(公益社団法人日本経済研究センター代表理事・理事長)、宮崎 淳平(株式会社ブルームキャピタル 代表取締役)、浅岡 義之(西村あさひ法律事務所 弁護士 ※受賞者代表)
【受賞作品】 

◆M&Aフォーラム賞 正賞『RECOF賞』
『中小企業買収の法務-事業承継型M&A・ベンチャーM&A』
【著者】柴田 堅太郎(柴田・鈴木・中田法律事務所 パートナー弁護士)

◆M&Aフォーラム賞 奨励賞『RECOF奨励賞』 2篇
『会社売却とバイアウト実務のすべて~実際のプロセスからスキームの特徴、企業価値評価まで~』
【著者】宮崎 淳平(株式会社ブルームキャピタル 代表取締役)

『M&A法大全[全訂版](上)(下)』
【編者】西村あさひ法律事務所

◆M&Aフォーラム賞 選考委員会特別賞『RECOF特別賞』
『M&A取引におけるアーンアウト条項の理論的基礎とその解釈(上)(中)(下)』
【著者】王 学士(元 東京大学大学院 法学政治学研究科博士後期課程 2018年9月修了)


21作品が応募、前年を6作品上回る

 M&Aフォーラム賞選考委員会は、2019年度(令和元年)「第13回M&Aフォーラム賞」に4作品を選定し、10月11日授賞式が行われた。

  「M&Aフォーラム」は、2005年の内閣府経済社会総合研究所の「M&A研究会」において民と官との連携ができる民間ベースのフォーラムが提唱されたことを受け2005年12月に設立され、今年で14年目を迎える。

 理論的、実証的及び実務的な視点から、進歩、変化するM&A事情の研究・調査を行い、今後のわが国におけるM&Aのあり方について提言を行うとともに、主に企業人を対象にした「M&A人材育成塾」の運営等の活動を通じて、M&Aの普及・啓発、人材や市場の育成に資することを目的としており、さまざまな関係分野の有識者、実務専門家、企業関係者が参加する場となっている。

 「M&Aフォーラム賞」は、2000年度に「M&Aに関する社会科学的観点からの研究論文の執筆で顕著な業績をあげた学生・院生を顕彰する懸賞論文制度」としてレコフが創設した『RECOF賞』が前身で、M&Aフォーラムからの強い要請もあり、学識経験者、行政担当者、M&A専門家、企業関係者(実業界)ならびに大学院、大学、各種専門学校を含めた学生にいたるまで幅広い分野に対象を広げ、06年にM&Aフォーラム賞『RECOF賞』として引き継がれた。

 第13回を迎えた今回は、法律、経済、経営、税務・会計、ファイナンスなどをテーマにそれぞれの観点で掘り下げた、21の書籍・論文の応募があった。

 選考委員長の岩田一政氏(公益社団法人日本経済研究センター代表理事・理事長)のもと、大杉謙一氏(中央大学法科大学院教授)、西山茂氏(早稲田大学ビジネススクール教授)、丹羽昇一氏(レコフデータ専務理事)の3人の委員によって、

①作品が創造性に富んでいること
②理論的、実証的な分析を行っていること
③実用性・実務への応用可能性が高いこと
④問題点を先取りし、その解決の糸口を論じたもの
⑤M&Aの啓蒙に資するもので、業界全体への影響力が高いと判断されるもの

などが主な基準で審査が行われた。


岩田選考委員長による講評

岩田氏
岩田氏
 岩田選考委員長は、「本年の特徴は、中小オーナー企業やベンチャー企業のM&Aに関する質の高い作品が多数寄せられたことでした。しかも、企業の買収側だけでなく売却側の立場からみた著作が増えていることが特徴的であります。また、DCF法など株式の公正価値の算定方法に関する論文や書籍が多かったように思います。
本賞の審査は、毎年、M&Aに関わる多様なテーマを取り扱った秀作が並び、また、異なる分野の優れた業績を評価、比較することもあり、容易ではありません。本年も優秀な応募作品の順位付けを巡って、最後まで熟議を重ねました」

として、次のように講評を述べた。

 「M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』を受賞した柴田 堅太郎著『中小企業買収の法務-事業承継型M&A・ベンチャーM&A』は、本書は中小オーナー企業を対象とする事業承継型M&A、ベンチャー企業を対象とするM&A取引、ベンチャー企業についてはマイノリティ出資を通じた資本業務提携を取り上げています。

 本書の特筆すべき点は、中小オーナー企業の買収に伴う具体的な諸問題を解決方法について架空の事例を設定して、まるで痒いところに手が届くように叙述している点です。一例をあげると、対象株券が存在しない場合、過去の株式譲渡の株券交付のやり直し、株主券の時効取得、特別保証、企業の再編による方法をあげています。さらに、会社と個人資産の区別が曖昧な場合の対処方法も巧みに解説をしています」

と高く評した。

 「宮崎 淳平著『会社売却とバイアウト実務のすべて~実際のプロセスからスキームの特徴、企業価値評価まで~』は、M&A取引の売却側にたった実務書であります。

 第一の特徴は、架空のオーナー経営者が自らの会社を売却するプロセスを物語風に読みやすく、また分かりやすく解説しています。第二の特徴は、実務必要とされる資料やプロセスレターなどの準備や契約交渉内容についてただちに実用に使用できる形で紹介されています。さらに財務モデルも数値例を用いて深く理解できる工夫がされています。第三の特徴は、売却型M&Aについて売却者が不利となるような取引とならないよう、類書にない切り口で小規模企業高リスク企業の価値評価方法を述べています。価値評価はDCF法だけでなく、確実性等価キャッシュフロー(CEQ法)、リアルオプション法、ベンチャーキャピタル法、ファーストシカゴ法など新たな手法についても詳しく著述されています。

 西村あさひ法律事務所弁護士 内間 裕、太田 洋、浅岡 義之著『M&A法大全』は、2001年に出版されてから18年ぶりに全面改訂された体系的な大著であります。

 本書はこの18年の間におけるM&A法の発展を振り返り、「社会の共有知」として社会へ還元することを目指したものです。序章は「法と経済学」がM&A取引の効率性や公平性の議論を深めることを通じて企業価値の向上に寄与することを説明し、第1部はM&A取引の法制度、第2部はM&Aの実務的な側面、第3部はグループ再編(親子上場を含むエクイティ・カーブアウト、スピン・オフ、 スプリット・オフ、コーポレート・インバージョン)を紹介しています。また昨今のベンチャー企業など先端分野の取引を整理して紹介しています。解説や文章は平易で、重要な論点を分かりやすく詳しく著述している貴重な書です」

と評した。

 最後に、M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞 『RECOF特別賞』の王 学士著『M&A取引におけるアーンアウト条項の理論的基礎とその解釈(上)(中)(下)』について述べた。

「アーンアウト条項とは、買主が売主に対して買収金額を全額支払うことなく、契約がクロージングされた後の一定期間、対象企業の経営者が企業の業績に応じて買収対価を支払う仕組みであり、本論文はこの条項の理論的基礎とその解釈を行なっています。

 とりわけ、買主が売主に対して、誠実かつ公正な取り扱いする黙示の義務を負っているとされる判例法につきまして、アメリカのデラウェア州の事例を取り上げて検討しています。

 具体的には、デラウェア州の事例に基づき、契約の明白な意味の原則に基づいて債務不履行責任のみならず、アーンアウト条項における誠実な履行の義務違反判決がなされていることをもって、誠実かつ公正な取り扱いに関する黙示の誓約の成立を認めることができるのではないか点を論じた優れたものであります」

と締めくくった。
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