[M&Aトピックス]

(2019/10/31)

第13回M&Aフォーラム賞が決定―M&Aフォーラム賞『RECOF賞』などに4作品を選定


活況なM&A市場に貢献すべく、M&A活動の普及・啓発とM&A人材育成活動を展開

 M&Aフォーラム 落合誠一会長(東京大学名誉教授)から寄せられたメッセージを株式会社レコフデータ代表取締役社長 吉富優子が代読した。

「私どもM&Aフォーラムは、2005年に内閣府経済社会総合研究所のM&A研究会で設立が提唱され、民間ベースのフォーラムとして発足しました。この間、我が国におけるM&A活動の普及・啓発を図り、あわせてM&Aに精通した人材の育成を目指した『M&A人材育成塾』とM&Aをテーマとした書籍・研究論文を顕彰する『M&Aフォーラム賞』の2つの事業を柱として、着実に実績を積み上げてまいりました。

 『M&A人材育成塾』をご活用いただいた企業数は延べ960社、受講された方は述べ1,430名に達しております。昨今、M&Aを学べる研修セミナーは増えておりますが、M&A各分野の実務にたずさわる第一線の講師による臨場感に富んで、大変、好評です。

 11月には、M&A実務の基礎を学ぶ『M&A実践実務講座』の上級応用編である『MALP(M&Aリーダーシッププログラム)』が始まります。この『MALP』はM&A全体を俯瞰し、プロジェクトを主導する人材を育成することを目的としたプログラムです。

 もう1つは、今回13回目を迎えました『M&Aフォーラム賞』です。我が国のM&Aの普及啓発に資する優れた書籍、研究論文に対して表彰する制度です。毎年実施してまいりましたが、前回第12回までに44の書籍・研究論文が顕彰されました。受賞作品を一覧すると、本賞には我が国のM&Aの実情を反映した作品の応募があり、受賞作品を一覧すると我が国のM&Aの発展状況が判ります。M&Aは法律、経済、経営、会計、社会、文化など多様で広範な分野と関係しますが、M&Aをテーマとして継続的に実施されている懸賞論文制度は唯一無二のものとして自負しております。

 岩田一政選考委員長のもと選考委員会において、毎回、厳正なる審査が行われており、今回はここ数年のなかでもっとも多い応募を頂戴し、これまでと同様、いずれも大変レベルの高い作品であったと聞いております。特に、受賞作品はいずれも甲乙つけがたく、今回も選考委員の先生方を悩ませたそうです。お忙しいところ、岩田委員長を始め、審査の労を賜りました選考委員の先生方に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

 平成の30年間はM&Aの発展の歴史といえます。特にこの10年をふりかえると、リーマンショック後の世界経済危機の到来や新興諸国の成長、東日本大震災、政権交代など我が国の経済社会を取り巻く環境は大きく揺れ動きました。そのなかで、日本企業のM&Aは再編や海外進出など経営戦略のひとつとして根付き、普通の経営手法となりました。ここ数年のM&A市場は海外の成長を求める大型案件に加え、国内では中小企業の事業承継M&A、デジタル化や新事業創成などを目的としたベンチャー企業M&Aが増加し、毎年、市場最高件数を更新するなど活況を呈しております。

 他方で、経済産業省は、一昨年、昨年と実務家、研究者などの有識者を委員として我が国企業による海外M&A研究会を開催し、海外M&Aを考えている企業経営者のヒントになるような指針を取りまとめました。また、この6月には、これまでのMBO指針を見直した「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」を策定し、我が国企業が共有するべき公正なM&Aのあり方の計測論と実務上の対応を定義し、今後のM&A実務にも大きな影響を与えることが予想されます。

このたび、M&Aフォーラムはレコフデータを運営事務局として新たなスタートをきりました。
私どもM&Aフォーラムは、今後もM&A活動の普及・啓発とM&A人材育成活動を中心に着実に実績を積み上げていきます。皆様には本フォーラムの趣旨にご理解を賜り、より一層ご支援の程お願いいたします」

受賞者の言葉

 受賞者は、それぞれ次のように喜びの言葉を述べた。
【受賞者の言葉】

■ M&Aフォーラム賞正賞『RECOF賞』 
 柴田 堅太郎 氏(柴田・鈴木・中田法律事務所 パートナー弁護士)

柴田 堅太郎
柴田 堅太郎 氏

 
「このたびは大変栄誉あるM&Aフォーラム賞『RECOF賞』をいただきまして、岩田選考委員長をはじめとする選考委員の先生方、私の本を愛読してくださった皆様に心より感謝申し上げます。

 前職でM&Aに関与した後、2014年に現在の柴田・鈴木・中田法律事務所を開設してもうすぐ6年になります。独立開業してから、中小規模のM&Aに関わる機会が増えました。そこではこれまで出会うことの少なかった、生々しい、しかも法的な分析が難しい論点にたくさん出会い、これはぜひ広く共有しておきたいと考え、本書を書き始めました。

 このような視点がご評価いただけたことは、光栄なことだと思っております。本日はありがとうございました」


■ M&Aフォーラム賞『RECOF奨励賞』
 宮崎 淳平 氏(株式会社ブルームキャピタル 代表取締役)

宮崎 淳平 氏

 
「このたびは授賞させていただき、ありがとうございます。

 当社は創業して8年目の売却側に特化したM&Aアドバイザリー会社です。創業した頃に売却側の案件が多かったのも幸いし、売却側に立った良いM&Aアドバイスの実現を使命と考え、売却側のM&Aノウハウを研究し続けてきました。そのうち、売り手側に特化したM&A解説書がないことに気づき、自分で積み上げたノウハウをもっと世の中へ出したいと思いました。会社は最も評価の難しいものの一つです。そういう取引であっても売り手と買い手が同じレベルで公平に取引が進められる市場が醸成されれば、最適な資産の再配置が実現しM&Aによる社会的価値の創造に貢献でき、同時に売却者側も足を掬われず満足いく結果が実現する・・・このように思い書いた次第です。

 そういう本にこういう栄誉ある賞を表彰いただき、非常に嬉しく思っております。この場を借りて感謝申し上げます」



■ M&Aフォーラム賞『RECOF奨励賞』
 西村あさひ法律事務所(編者代表)


太田氏

内間 裕 
太田 洋 氏
浅岡 義之 

 「このたびは大変栄誉ある賞をいただきまして、誠にありがとうございました。

 本書は西村あさひ法律事務所でM&Aに関与する弁護士一同で執筆させていただいたものとなります。選考委員長からご説明いただきました通り、2001年に出版されました『M&A法大全』の全面訂版の位置付けです。内容は、その間の法令の変化をふまえて全てを書き換えていますが、スピリット自体は変わりませんで、当事務所のモットー「『法の支配』を礎とする豊かで公正な社会の貢献と社会を築く」に沿ってできる限り、公平公正な見地からの客観的な記述を心がけた次第です。

 この奨励賞をいただくことになりまして、奨励賞について改めて考えてみたところ、業績や書籍を評価して今後の活動に期待に込めていただける賞、と理解いたしました。このたびはありがとうございました」

■ M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞 『RECOF特別賞』
 王 学士 氏(元 東京大学大学院 法学政治学研究科博士後期課程 2018年9月修了)

 「このたびは、『M&A取引におけるアーンアウト条項の理論的基礎とその解釈』を第13回M&Aフォーラム賞選考委員会特別賞『RECOF特別賞』に選考していただき、誠にありがとうございます。本日の授賞式にはぜひとも参加させていただき、選考委員会の先生方からのご講評を賜りたかったのですが、所用により参加が叶わず、また代読にて御礼を申し上げますことの非礼をお許しいただければと存じます。本賞の受賞を励みとして、今後も研究に励んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます」

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