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(2019/08/19)

知財の真の価値をマネタイズする!

~次代に向けての知財活用と未来を語る

左から森 康晃氏、佐々木 隆仁氏

   グローバル社会の情報化により、企業は国際的な競争力を高めることが求められている。そのため、今改めて注目を集めているのが付加価値の高い無形資産の創造、いわゆる「知的財産」の活用だ。一般的に知的財産権を扱うプロスペック領域を“IP領域”と呼ぶが、日本はこの領域について先進国の中で遅れをとっている。次代に向けて、この知的財産権の価値をどう高めていけばよいのか?AOSグループ代表・佐々木 隆仁氏と、早くから知的財産について研究する早稲田大学の森康晃教授が知財活用の未来を語った。


 2019年7月16日、WeWork日比谷パークフロントにて『xTECHとワイン「利益を出す知財・法務部のためのVDRテクノロジーとワイン」』とクレジットされたセミナーが開催された。その第一部として「知的財産戦略におけるVDR活用例」をテーマとしたトークセッションを実施。AOSグループ代表・佐々木氏と通産省(現・経産省)、内閣府 産業技術総合研究所を経て、早くから知的財産、産業政策、産学連携について研究されている早稲田大学の森教授が登壇した。

 冒頭、佐々木氏が「機密性の高い知財データをメールで扱うのはナンセンス」と問題提起。機密情報のやり取りに最適な『AOSデータルーム』の特徴について紹介があった。「いわゆる“オンライン貸金庫”のイメージ。オンラインストレージのような無料ツールよりはるかに機密性が高く安全性が確保できる。データは一切ダウンロードできないようにすることもできるのでクローズ空間で共有することが可能だ」と説明する。

 また、知的財産権を取り扱うには複雑なフォルダ構成が必要だが、それを標準装備していると強調。さらに「相手が誰でいつ、どこを見たかというのがわかるというのは知財デューデリジェンスを考える上で重要。メールでは大量にデータがあっても、どこまでみているかわからないがそれが解消できる」と述べた。加えて、多言語対応であったり、海外製のものよりもコストが削減できる点をアピール。しかも即日導入が可能なため、「その日からデューデリジェンスに使える」というのが最大の利点だと説明した。

 続いて、佐々木氏と森教授のトークイベントがスタート。その模様を以下に再現する。

守られるべき知財が曖昧に扱われる現状

佐々木 森教授はどうして早稲田大学で知財について教え、研究することになったのでしょうか。

 知財の力が発揮される場は裁判です。勝訴するために知財が活かされますが、特許を持つ原告が訴えを起こし、勝訴する確率は約21%。本来ならば特許は国際ルールであるべきですが、日本で特許を取得しても他国では通用しないという不確実な制度となっています。しかも、日本は歴史的に見ても知財に対する意識が低く、ようやく2000年になって「知財元年」などと宣言するほどの後進国。この状況をどうにかしなければならないと感じました。

佐々木 原告が勝訴する割合が、21%というお話がありましたが、その要因として、そもそも情報が十分に開示されていないので、訴訟戦略を立てるのが難しいという点があげられるかと思います。データがあれば人工知能が処理をして、“勝訴に結びつくためにはどうしたらいいのか?”についてのアドバイスを受けることは技術的に可能です。ところが肝心なデータにアクセスができない。そんな状況にあるかと思います。



 確かに、おっしゃる通りです。知財権という権利を主張する際に、下手をすれば別の新規技術に干渉してしまう恐れもあります。適宜コントロールしてデータ的なもの、プラス経験からくる人間の価値判断が知財をマネジメントする際には重要になってきます。データを読み取って、弁理士や弁護士の経験や知識を併せてAIに載せて、客観的に解析していくべきだと思いますし、それは現段階において課題となっている部分かと思います。

佐々木 実際に我々は、色々なデータを保有し、解析して販売していますが、買う側にとって価値がなければ売れませんし、いくらだったら売っていいのかという線引きも曖昧で明確な基準はありません。私が重要視するのは“同様の知財がいくらで売れたか、どのくらいの利益をあげたのか”というリアルデータ。それがなければ、価値基準の判断はできません。

研究者の権利を守るために必要なこと

佐々木 改めて、早稲田大学の知財事情についてお聞かせいただけますでしょうか。

 早稲田大学には企業と合同研究を行う研究室が数多くあります。ただ、知財収入の面で見ると、あまり高いとは言えませんね。また、企業との共同研究においては、早稲田大学は研究に専念したいという思いから、知財の価値については少し企業任せになっている傾向があり、その結果、投入された研究資金から考えれば非常に低い金額になっています。

佐々木 その話をお聞きして、当社製品が活躍できる場面がありそうだと確信しました。私どもの『AOSデータルーム』が最も活用されている事例はM&Aやベンチャーの投資です。特に大学発のベンチャーの場合、知財がベースになっていますが、それがまったくマネタイズされていないという実情があります。そこを改善させたいというのが、森先生と共同研究を行いたいと思った一番の理由となります。早稲田大学の知財を使ったベンチャーが生まれて、投資を受ければ、知財の価値も高まり、2~3年でバイアウト。それが実現されれば、億単位の数字は軽く叩き出せると思っています。IPテックの領域を上手く活用することで状況を大きく変えることができると考えていますが、いかがでしょうか。

 可能なことだと思います。先ほどおっしゃられていた、知財に対する論理的な価値判断が可能になると思います。私が産総研に在籍していた当時、知財の価値で最も問題になっていたのが利益です。それまでは研究者に利益が還元されずにいたため、規制がなくなったとたんに研究者が勝手に判断して世に出し始めるという状態にありました。アメリカでは、政府の資金で研究開発された発明であっても、大学や研究者が特許権を取得することを認めた法律があります。そうしなければ研究者のモチベーションを低下させてしまいます。

 また研究者は、当然、工場も資本もないため、どうしてもライセンスありきにならざるをえません。ただし、研究者の多くは六法に疎いので、まずはライセンス取得の心得を徹底する必要があります。さらに研究者たちはNDA(秘密保持契約)すら取り交わしておらず、企業秘密となるような情報も共有してしまっています。せっかく特許が取得できる技術であっても新規性がなくなり価値が下がるため、基礎的な機密保持をきっちり行うよう徹底しています。

佐々木 今のお話には、大学の知財ビジネスの現状を正しく理解するためのヒントが含まれているように感じました。まず大学は、機密情報を機密情報として扱っていない。研究室に企業との共同研究に関する資料が無造作に置かれていたりすると、他の企業がみたときにどう思うか。先生方の間で“知的財産権を機密情報としていかに守っていくか”という意識が欠けているのでしょう。

 また、個人へのインセンティブは重要で、最終的に知財の価格を吊り上げたければ、複数の人にベットさせる仕組みを用意すべきです。当社の『AOSデータルーム』は、複数の人が効率よくデューデリジェンスをできるように作られた仕組みになっています。複数の人に同じ情報を開示して、その中で一番高く金額を出してくれる人に売却するのに適したシステムであると自負しています。

研究者の権利を守るために必要なこと

佐々木 どうしても日本においては、特許で稼ぐという感覚が欠けているように思えます。しかし、そこで得た資金が今後の研究や開発に活かされるとしたら、非常に重要な要素になると思っています。

 知的“財産”というくらいですから、立派な“財産”なのですよ。権利や制度が存在していて、当然、法律で守られるはずなのですが、わずか21%という裁判勝訴率ですから…いかに質を高めるかということに尽きると思います。また、技術をクローズにするだけでなく一部オープンにして、その際に課金をつけるというのもよりよい技術運用の手段のひとつだと思っています。

佐々木 これから森先生と進めていきたいのは、知財のためのデューデリジェンスのプラットフォームの構築です。大事なことは、知的財産権をお金に変えていくという世界を作っていくこと。私たちのような一企業が取り組むテーマではないかもしれませんが、知財の流動化を行うことが、経済市場の活性化に繋がっていくと確信。この“IPテック”と呼ばれる新たなテクノロジー領域を、先生とも今後一緒に切り拓いていければと考えています。



■ささき・たかまさ

1964年、東京都生まれ。早稲田大学理工学部卒業。大手コンピューターメーカーに入社後、社内ベンチャー公募制度を用い、1995年にAOSテクノロジーズ株式会社を設立し、代表取締役社長に就任する。2000年よりデータ復元ソフト「ファイナルデータ」を発売し、2001年に日経サービス優秀賞を受賞。2012年にAOSリーガルテック株式会社を設立、代表取締役社長に就任。2015年に第10回ニッポン新事業創出大賞で経済産業大臣賞(アントレプレナー部門最優秀賞)を受賞する。

■もり・やすあき

早稲田大学政治経済学部卒業後、1977年に通産省(現・経産省)に入省。同省で、1985年、コンピュータプログラムの普及に伴い、著作権で保護すべきか特許権で保護すべきかの政策的論争において、日本として世界をリードすべきプログラム権法を提唱。その後、海外で日本産業界と欧米の紛争処理や新中国の誕生に伴い海賊版対策等日本企業の権利保護を担う。産総研では、研究者の発明貢献度に応じたシステムを考案し、低迷していた特許ライセンス収入の増大を果たす。


リーガルテック株式会社



<お問い合わせ先>
email:aosdr@aos.com
TEL:03-5733-5790(担当:古川、西丸)


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