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[M&A戦略と会計・税務・財務]

2021年9月号 323号

(2021/08/16)

第168回 ポストコロナに向けた研究開発と税制支援

荒井 優美子(PwC税理士法人 タックス・ディレクター)
1. 世界経済見通しによる世界経済回復の動向

 世界保健機構(WHO)によるパンデミック宣言(2020年3月16日)から約1年半が経過し、世界的にワクチン接種が拡大する中、国際通貨基金(IMF)は7月27日に公表した世界経済見通し(WEO)において、世界経済の実質成長率は、2021年に6.0%、2022年に4.9%と予測した。世界全体の2021年の成長率予測は2021年4月の数値から変わっていないが、新興市場国・発展途上国についてはアジアの新興市場国を中心に2021年の見通しが下方修正されている一方で、先進国の見通しは上方修正された(図表1参照)。これらの改訂はパンデミックの動向と政策支援の変化が反映されたものと分析している。ワクチン接種ペースで欧米に後れを取っている日本は、2021年4月予想から0.5ポイント下方修正され、2021年の実質成長率予測は2.8%と、先進国の中では最も低い成長率予測となっている。

【図表1 世界主要国の実質経済成長率】

 このような経済環境において、日本企業にとってはこの1年が、ポストコロナに向けた企業変革の正念場の年とも言える。2021年3月期(2020年4月1日より2021年3月31日までの事業年度)の有価証券報告書では、「自動車産業が100年に一度の大変革期を迎え、(中略)カーボンニュートラルなど社会課題への取り組みや、自動運転、コネクティッドなど、急速な技術革新への対応を加速させ」(トヨタ自動車株式会社(以下、「トヨタ」)、「高品質・高信頼のプロダクトに加え、(中略)最先端のITを併せ持ち、デジタル技術を活用したソリューションを提供できる」(株式会社日立製作所)ことを事業のビジョンとして掲げる企業もある。

 すなわち、製造業は最早「ものを造って売る」産業でなく、より高い付加価値を顧客に提供する産業へとビジネスモデルを転換させており、コロナ下の「新しい生活様式」は、リアルデータ・AIを活用してビジネスモデルを転換する等のDXの推進を加速化させ、そのためのソフトウエア開発が研究開発活動の鍵を握ることとなっている。

 トヨタは、「モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)」 を2018年3月期の有価証券報告書以後、企業の課題に含めているが、2021年3月期の有価証券報告書で、製品の開発手法を「ソフトウエア・ファースト」(従来のハードウエア主体の車両開発から、ソフトウエアから開発を進める手法)に見直すことを新たな課題に加えた。

 このような研究開発活動の状況に対応すべく、経済産業省や経団連等の経済団体は、令和3年度税制改正要望 で、「クラウドサービスや製品開発のために用いられるツール等、自社利用ソフトウエアに係る試験研究費について、発生時損金処理と研究開発税制の税額控除対象試験研究費への算入」を掲げ、発生時損金処理を除き、研究開発税制の改正が行われている。


2. 第6期科学技術・イノベーション基本計画における研究開発等の目標

 我が国の科学技術及びイノベーション政策は、長期的視野に立って体系的かつ一貫した科学技術政策を実行するために、科学技術基本法(2020年6月、「科学技術・イノベーション基本法」に名称変更)に基づく「科学技術基本計画」を1996年より5年ごとに策定し(第1期(平成8~12年度)、第2期(平成13~17年度)、第3期(平成18~22年度)、第4期(平成23~27年度)、第5期(平成28年度~令和2年度))、それに基づいて実行されている。

 第5期科学技術基本計画では、

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